2003 Fiscal Year Annual Research Report
繰返す胎児の低酸素症が生後長期間の心機能障害の誘因となる可能性に関する実験的研究
Project/Area Number |
15390500
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡村 州博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90124560)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 友春 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (30302087)
木村 芳孝 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (40261622)
菅原 準一 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (60280880)
|
Keywords | 胎児心筋厚み変化速度 / 位相差トラッキング法 / 心筋壁内膜側・外膜側 / 羊胎仔実験 |
Research Abstract |
超音波の従来技術の精度は、時間分解能が十数Hz以下であり、空間分解能が1mm前後である。これを厚さ2から3mmの胎児の10Hzから150Hzに振動特性をもつ心筋の動きを計測するのは精度的に不可能である。これに対し、金井らにより1996年に提唱された高精度超音波測定技術である位相差トラッキング法を用いた場合、論理的に0.2μmの解析精度を有し、1kHzまでの帯域の振動を観測可能である。この方法を用い胎児の心筋壁を数層に分けその各々の速度変化を算出することが出来る。しかし、位相差トラッキング法では逆に、得られる壁の運動情報量が膨大となり、臨床計測した結果の解釈が難しく胎児心筋の運動特性を抽出しにくい。我々は、発生学的見地から心筋層を内膜側・外膜側の2層に分け、その厚み変化速度を右心室壁、左心室壁についてそれぞれ観察するシステムを構築した。(特許出願準備中)成人では、echocardiography(従来技術による心臓壁運動観測法)を用いた超音波システムにより、心臓壁の内膜側と外膜側に運動の違いが推定されており、壁の内膜側と外膜側がそれぞれ協調運動をすることにより心室内のスムーズな血流を作り出すこと、一方側の心筋障害時に他方が代償的に大きな厚み変化を示すこと、それにより心拍出量を保つことなどが考えられている。 本年度は、このシステムを用い胎児期の心臓壁の内膜側と外膜側に運動の違いが存在するか、妊娠週数による変化は有るかを検討した。臨床病理的には、心負荷の不均衡な増大が考えられる双胎間輸血症候群に対しデータの収集を行った。また、羊胎仔を用い臍帯圧迫による急性低酸素血症モデルを作成し、心筋壁運動を計測した。ヒト胎児25例の観察では、右心壁の厚み変化速度平均値が左心壁の厚み変化速度平均値と比べ有意に高いこと、心筋壁の内膜側、外膜側の厚み速度変化は右心室壁で有意に差があり週数で外膜側厚み変化速度が、内膜側速度変化に比べ増加していくことが分かった。(2003年3月20日東北超音波研究会発表)次年度は、羊胎仔を用いた実験を完成させたい。
|
Research Products
(1 results)