2005 Fiscal Year Annual Research Report
繰返す胎児の低酸素症が生後長期間の心機能障害の誘因となる可能性に関する実験的研究
Project/Area Number |
15390500
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡村 州博 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90124560)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 芳孝 東北大学, 先進医工学研究機構, 教授 (40261622)
菅原 準一 東北大学, 病院・講師 (60280880)
|
Keywords | 羊胎仔胎児胎盤循環不全 / 子宮内ストレス / 早期成熟モデル / 胎児胎盤末梢循環系 / Myograph |
Research Abstract |
本研究の目的は、胎児循環不全が胎児の心血管系、及びその調節系としての脳神経系そのものに与える影響を調べることである。ストレスに対する胎児の早期成熟に伴う末梢血管の異常が生後長期間の心血管疾患、脳梗塞、精神疾患に重大な影響を与えると考えられる。我々は、羊胎仔低栄養モデルを用い、胎盤血管の低栄養での薬理学的異常をmyographyを用い検討した。これにより、低栄養ストレスでは、胎盤血管は妊娠早期から拡張傾向に傾き、胎児の血圧調節系の成立が異常な環境で起こることが示唆された。これは2005年周産期新生児学会学術大会にて報告した。ヒト胎盤に於ける末梢血管の調節機構はほとんど知られていない。われわれは胎盤血管の反応性の種差を見るため、分娩時のヒト胎盤血管を用い薬理学的検証をおこなった。これによって、ヒト胎盤では、拡張反応の主体は羊胎仔と同様に一酸化窒素であり、各種の血管調節反応にきわめて大きな影響を与えていることが分かった。これらは、ヒト胎盤における血管拡張の調節性も、羊胎仔と同様にNOにより決定制御されていることを示唆し、今後の研究に重大な示唆を与えるものと考えられる。また、循環不全のストレスが脳神経系に与える影響を調べるために、羊胎仔に対し繰り返し臍帯圧迫の循環ストレスを加え、羊胎仔の皮質脳波を計測した。これにより、羊胎仔の血中pHが7.18付近で、胎児皮質脳波に異常なスパイク波が出現することが分かった。胎児のアシドーシスの基準はpHが7.15と考えると、明確な循環血液不全を示す以前に胎児脳で何らかの変化が起こっていることが示唆された。本研究によれば、マイルドな循環ストレスでも脳の常態に影響を与えることが分かった。本研究の結果は、循環不全ストレスに於ける胎児循環、中枢の異常の発生学的研究に重大な示唆を与えるものであり本研究の意義は大きい。
|
Research Products
(4 results)