2004 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内環境が出生後の各種疾患発症に及ぼす影響の基礎的ならびに臨床的研究
Project/Area Number |
15390504
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐川 典正 京都大学, 医学研究科, 助教授 (00162321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
刈谷 方俊 京都大学, 医学研究科, 講師 (90243013)
伊東 宏晃 京都大学, 医学研究科, 助手 (70263085)
由良 茂夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (60335289)
小川 佳宏 東京医科歯科大学, 医学研究科, 教授 (70291424)
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Keywords | 妊娠 / 胎盤 / 胎児発育遅延 / レプチン / 肥満 / 生活習慣病 / Diet-induced thermogenesis |
Research Abstract |
妊娠中の胎盤機能悪化や低栄養に伴う子宮内発育遅延(IUGR)胎児では出生後良好な発育をし、いわゆるキャッチアップした児においても成人期に肥満、高血圧、心血管障害、糖尿病など、各種の生活習慣病が高率に発症することが報告されつつある。少子化時代を迎えた今日ではこのような症例に対する予後改善を目指した集学的治療がますます重要性を増している。本研究では子宮内発育遅延モデル動物において、成長後の肥満発症に及ぼす因子を検索するとともに、胎盤機能障害に対する新しい治療法開発を目指した基礎的検討を行った。 1.実験的IUGRモデルの作成と成長後の肥満発症の検討 平成15年度の研究成果により、マウス妊娠母獣の摂食制限により胎仔発育の遅延を認めること(IUGR群)、出生仔の新生仔期に一過性の高レプチン血症を呈することを報告した。 a.上記の出生仔マウスに生後8週齢以降に高脂肪食を付加すると、対照群でも肥満を生じたが、IUGR群ではさらに高度の肥満を呈した。対照群とIUGR群ともに摂取カロリーは、普通食と比較して高脂肪食下で増加したが、両群間では差を認めなかった。対照群のマウスでは高脂肪食を負荷したときに酸素消費量が増加し、体温の上昇(いわゆるdiet-induced thermogenesis ; DIT)が見られたが(n=8)、IUGR群では高脂肪食を負荷した際に酸素消費量や体温の上昇、すなわちDITが見られなかった。 b.妊娠中に母獣の摂食制限を行わなかった仔に対して新生仔早期にレプチンを投与すると(新生仔期レプチン群)、新生仔の体重は一過性に低下したが生後3週齢までに体重はcatch upし、普通食飼育下ではその後も両群に有意な体重差を認めなかった。ところが、生後8週齢以降の高脂肪食付加により新生仔期レプチン群では高度の肥満を認めた。 以上から、IUGR児の出生後の一過性高レプチン血症により、成長後の肥満を発症する可能性が示唆された。 2.胎盤の機能再生をめざした細胞移植療法についての基礎的検討 a.遺伝子操作により全身の細胞を蛍光色素(GFP)標識されたマウス(GFPマウス)から骨髄由来細胞を調整し、これを正常妊娠マウス(妊娠9.5日)の子宮内胎盤に注入した。胎盤内への生着の有無を妊娠18.5日に検討したところ、胎盤の連続切片のうち1.0ないし8.0%に1〜10個のGFP陽性細胞を確認した。GFP陽性細胞のうち約5%にCD34の発現を認めた。 以上より、母獣骨髄由来細胞が胎盤内に生着し、胎盤形成に何らかの関与をし得る可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)