2004 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜への一過性遺伝子導入技術を用いた着床不全患者への遺伝子治療法の開発
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15390505
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 正 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90240845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古山 将康 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00183351)
下屋 浩一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40291950)
筒井 建紀 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00294075)
荻田 和秀 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80379247)
金田 安史 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10177537)
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Keywords | 子宮内膜 / 着床 / 遺伝子導入 / HVJ-Eベクター / NFKappaB / 一過性強制発現 / デコイ |
Research Abstract |
我々は、まず生体内に高い効率で遺伝子を導入するための試行錯誤を行い、センダイウイルスを不活化しその外殻に外来遺伝子を導入するHVJ-Eベクターが、マウス妊娠子宮内膜に最も高い効率で一過性に遺伝子を導入しうることを報告した(Mol Hum Reprod 2003:9;603)。続いて、着床期に子宮内膜で増加、減少する物質を調べ、多機能転写因子であるNF kappaBが着床期、子宮内膜上皮で活性化されていることを発見、報告した(Am J Reprod Immunol 2004;51;16)。しかし、NF kappaBシステムのノックアウトマウスの報告によると、胎性致死、あるいは正常表現型となり、NF kappaBの着床における生理的意義は不明であった。そこでNF kappaBの活性化をおさえるI kappaB alphaのドミナントネガティブ変異体cDNAをマウス着床期子宮内膜に一過性強制発現させた。すると、NF kappaB活性は対照の半分以下に抑制され、エバンスブルーによる着床部位の判定、その後の形態的観察から、着床が1日遅延することが明らかになった。しかし、この操作によってその後の胎児発育、分娩日は1日遅れながら正常に経過し、新生児にも何ら影響を与えなかった(BBRC 2004:321;886)。さらに我々は二本鎖DNAデコイをNF kappaB結合コンセンサス配列に対し作成し、このデコイも同様に子宮内膜に導入すると着床を1日遅延させることを確認した(未発表)。これらの研究成果は不妊治療時の最大の問題である着床不全の病態を解析する基礎的知見となる。子宮腔内に安定して遺伝子を胎児に悪影響を及ぼすことなく導入できる本システムは将来の遺伝子治療の有用な手技となりうる。
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Research Products
(3 results)