2004 Fiscal Year Annual Research Report
子宮体癌に特徴的な遺伝子変異に基づいた細胞死誘導機構の解明と癌遺伝子治療への応用
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15390508
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 秀則 九州大学, 大学病院, 講師 (60214392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和氣 徳夫 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (50158606)
松田 貴雄 九州大学, 大学病院, 助手 (10304825)
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Keywords | ORF-12 / senescence / apoptosis / HPH-2 / EGLN-1 / HIF-1 / DCC / 子宮体癌 |
Research Abstract |
1)DCCについて ヒト子宮体癌細胞株7株をもちいて、全ての株でDCCの正常な発現が失われていることを確認し、Netrin-1存在下でDCCを再発現させると全株でアポトーシスが誘導されることを確認した。また臨床検体30例の検討でも70%程度の症例でDCC発現が消失しておりこれらの症例の予後は相対的に不良であることも判明した。臨床応用の第一歩としてDCC発現アデノウイルスベクターを作製した。引き続きこれを用いて、子宮体癌細胞株とヌードマウスを用いた系で生体内投与の検討を行う。 2)ORF-12について ORF-12はHIF-1プロリン残基水酸化活性をもち、これをとうしてHIF-1の分解を促進する。多くの子宮体癌症例ではHIF-1の発現が亢進しておりその約5分の一にORF-12の異常が見られる(特に肉腫例ではほぼ全例)ことを明らかにした。ヒト子宮体癌細胞株3株を場として(これら全ては、ORF-2に変異を持つ)、正常型ORF-1の再発現はHIF-1蛋白を消失させ、その下流であるVEGFなどの腫瘍増殖促進的に働く多くの遺伝子の活性を低下させることを見いだした。さらにORF-12によるHIF-1の抑制は最終的には、senescenceを誘導し癌細胞死を導くことも明らかとなった。これらの事実をふまえてHIF-1活性阻害剤であるYC-1と17AAGを癌細胞株に添加したところ同様な細胞死の誘導が観察された。ORF-12発現アデノウイルスベクターとともにこれらの薬剤の生体内投与について、特に難治例の肉腫を中心にして今後検討を行う。 3)p21について p21発現アデノウイルスベクターを作製した。これらの癌細胞への感染は、Rb,p16,p53の状態に依存せず低容量感染でsenescenceを、高容量でアポトーシスを誘導することを明らかにした。基礎的検討が終了したのでこれもヌードマウスを場として検討を進める。
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Research Products
(6 results)