2006 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌のパクリタキセル耐性機序に関わる候補遺伝子の同定と遺伝子治療への応用
Project/Area Number |
15390509
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Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
小川 伸二 九州大学, 大学病院, 助手 (60380391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 裕明 九州大学, 大学病院, 助手 (70260700)
園田 顕三 九州大学, 大学病院, 助手 (30294929)
上岡 陽亮 九州大学, 大学病院, 助手 (50372743)
矢幡 秀昭 九州大学, 大学病院, 助手 (30404065)
和氣 徳夫 九州大学, 医学研究院, 教授 (50158606)
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Keywords | パクリタキセル耐性 / 卵巣癌 / cDNAマイクロアレイ法 / β-チュブリン |
Research Abstract |
タキサン製剤の耐性機序としては、P糖タンパクの過剰発現、細胞内グルタチオンの低下、α-チュブリンの増加・アセチル化、βチュブリンの変異、特異的βチュブリンアイソタイプの発現変化、など種々の機構が報告されているが、近年では特にβ-チュブリンアイソタイプのうちのクラスIIIβ-チュブリンの過剰発現との関係が注目されている。また、mRNA発現量と蛋白発現量とは必ずしも相関しないので、蛋白発現量の解析が重要であるといわれている。そこで、卵巣癌摘出標本におけるβ-チュブリンのアイソタイプであるクラスI、クラスII、クラスIII、クラスIV(IVa+IVb)の蛋白発現量を免疫組織化学的染色法にて評価して、予後とくにタキサン製剤を含む化学療法に対する反応性と比較検討するプロジェクトを当大学形態機能病理学の研究協力者と共に行った。この結果、卵巣癌ではクラスIならびにクラスIVアイソタイプが高発現を示す一方、クラスIIアイソタイプは微量発現、クラスIIIは中等度発現を示した。また、タキサンによる化学療法を行った群ではクラスIIアイソタイプの発現が見られなかった群は進行症例に有意に多いことが示され、多変量解析によりクラスIIIアイソタイプの高発現はprogression free survivalが短い傾向(p=0.081)が認められた。一方タキサン以外の化学療法が行われた群ではこれらの傾向は認められなかった。これらのことから、タキサンを用いた化学療法群ではクラスIIIアイソタイプの高発現は早期の再発と関連していることが示唆された。また、クラスIIアイソタイプ発現の欠失は進行症例に多く、この欠失により腫瘍の進行が高まった可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)