2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15390510
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
星 信彦 神戸大学, 農学部, 教授 (10209223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 照夫 北海道大学, 医学系研究科, 助手 (40250451)
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Keywords | 性分化機構 / 性的二型核 / SDN-POA / AVPvN-POA / GrRH / 神経細胞 / SCN / Fosファミリー |
Research Abstract |
【緒言】ラットの生殖腺の機能は視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)によって制御されている.雌特有の分泌様式であるGnRHサージはGnRH産生神経細胞(GnRHニューロン),GnRHに直接投射している視索前野の前腹側脳室周囲核(AVPvN-POA)および視交叉上核(SCN)などで構成される神経ネットワークによって制御される.GnRHニューロンはその数に雌雄差はみられない.AVPvN-POAはその大きさが雄より雌に優位であり,ドーパミン(DA)産生ニューロン数が雄より雌に多い性的二型核である.さらにAVPvN-POAにはエストロゲンレセプターを発現する神経細胞が多く存在している.SCNはサーカディアンリズムを刻む神経核である.以上のことから,SCNがGnRHサージを時間的に制御し,性的二型核であるAVPvN-POAがエストロゲンの作用によりGnRHニューロンに直接神経伝達を行うことによって,活性GnRHニューロン数に性差が生じ,その機能的性差がおこると考えられることから,本研究において以下の実験を行った.【材料および方法】雌雄成熟ラットおよび出生日にエストラジオールベンゾエート(EB)を投与して雄性化させた雌成熟ラットにGnRHサージ分泌を促すためにEBを投与し,サージ分泌時に脳を摘出した.視床下部のGnRHニューロンまたはDAニューロンと細胞活性との関連を調べるため,中枢系細胞の活性の指標として使われている抗c-fos(ab-5)抗体&抗GnRH抗体または抗c-fos(ab-5)抗体&抗チロシンハイドロキシラーゼ抗体を用いて二重染色を施し,組織学的および定量組織学的解析を行った.【結果】雌の前内側視索前野におけるGnRHニューロンは,その多くが活性していたが,雄および生後初期EB投与雌に活性GnRHニューロンはまったくみられなかった.AVPvN-POAにおける活性細胞は雄および生後初期EB投与雌に比べて,雌に有意に多く存在した.しかしながら,AVPvN-POAのDA細胞において雌雄および生後初期EB投与雌に活性は殆どみられなかった.【考察】GnRH分泌の機能的性差はGnRHニューロン活性の性差に起因することが示された.また,GnRHニューロン活性の性差は生後初期ステロイドに影響されることが明らかになった.さらに,この活性はAVPvN-POAにおける細胞活性と関係していることが示唆された.GnRH分泌制御にDAが関係していることが報告されていることから,AVPvN-POAの活性細胞がDA分泌を制御することによってGnRHニューロンの活性を間接的に制御していることが考えられた.
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Research Products
(4 results)