2005 Fiscal Year Annual Research Report
膜型メタロプロテアーゼおよびEBV抗原を標的とした頭頚部がん分子標的症法開発
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15390514
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉崎 智一 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (70262582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室野 重之 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20345622)
古川 仭 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40092803)
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Keywords | EBウイルス / 膜型MMP / 抗体 / LMP1 / MMP阻害剤 |
Research Abstract |
1)前年度までに、ヒト腎臓由来培養細胞株HEK293とそれに膜型マトリックスメタロプロテアーゼ1(MT1-MMP)FLAG発現ベクターを形質導入した293-MT1-FLAGを用い、抗MT1-MMPマウスモノクローナル抗体114F1に131Iをラベルして殺細胞効果および増殖抑制効果を検討した。すなわち、培養液のみ、抗体単独、131I単独、抗体+131I、131Iをラベルした抗体、各々の条件で、293細胞および293-MT1-FLAGに対するコロニー形成率を比較した。その結果、上記条件においては、いずれの群の間にもコロニー形成率に差を認めなかった。そこで、MT1-MMPの阻害剤BB94を併用した。するとMT1-MMPタンパクの発現が増えることが判明した。10μgMT1-MMP抗体ではBB94を用いても抗体結合率は上昇しないが100μgの抗体を入れると、細胞膜表面への抗体の結合は10-20%上昇した。 2)本年度は、抗腫瘍効果を増強するために抗体の結合率の改善に取り組んだ。上記以外の抗体として、免疫組織染色においてMT1-MMP蛋白の描出に優れている113-5B7およびフローサイトメトリーでMT1-MMP検出に優れているAB815を用いて上記の方法でMT1-MMP発現細胞への結合率を評価した。その結果、113-5B7のMT1-MMPに対する親和性は114F1とほぼ同等であるのに対して、AB815は114F1よりも5倍から10倍高いことを見いだした。 3)前年までに、Epstein-Barrウイルス(EBV)がん遺伝子LMP1に対する分子標的治療として、抗LMP1抗体を用いる方法が可能かどうか検討したところ、治療目的には使用不可能であることが判明した。 4)本年度は、LMP1により細胞膜表面に発現が誘導される分子を同定し、その分子に対する抗体療法開発を目的とした。その結果、LMP1はNF-κB活性化を介してムチン1発現を著しく増強することが判明した。ムチン1に対する分子標的療法は現在臨床応用に向けて研究が進んでいる分野であり、この治療法が上咽頭がんに対しても有効であることが示唆された。
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Research Products
(7 results)