2003 Fiscal Year Annual Research Report
PETを用いた耳鳴の中枢作用機序の解明と対策の立案
Project/Area Number |
15390518
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久保 武 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30107031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 洋 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80362698)
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Keywords | 人工内耳 / 耳鳴 / Positron emission tomography / H_2^<15>O / ^<11>C-flumazenil / 後抑制 |
Research Abstract |
人工内耳患者に対し耳鳴に関するアンケート調査を行い、人工内耳術前に耳鳴を自覚し、人工内耳装用時に耳鳴の改善がみられ、装用後に人工内耳を止めても耳鳴抑制が続く患者を11名選択した。選び出した患者に対してPET研究に関する説明を行ったところ、3名よりインフォームドコンセントが得られた。これらの患者に対し、大阪大学医学部附属病院に設置されているPET装置を使用し、耳鳴時(安静)・音刺激時(刺激提示装置からホワイトノイズ音を提示)・耳鳴後抑制時(刺激音を止めた直後)における脳血流画像を、H_2^<15>Oをトレーサとして各被験者・各条件4枚ずつ撮影した。同様に、耳鳴を自覚しない健常被験者6名に対しても同様の脳血流測定を行った。耳鳴患者は全員、耳鳴後抑制時に耳鳴の軽減を認めた。健常被験者は耳鳴を知覚しなかった。得られた脳血流画像を解析ソフト(SPM99)を使用して解析したところ、耳鳴患者群においては耳鳴時と比較して耳鳴後抑制時に右上側頭回・左楔部の賦活が見られた。健常被験者群においては同様の比較時に有意な脳血流変化を認めなかった。側頭葉の聴覚関連領域が耳鳴の減弱・抑制に関与している事が示唆された。今後、これらの結果を英文雑誌等に投稿する予定である。また、^<11>C-flumazenil(ベンゾジアセピン受容体拮抗薬)合成のための^<11>C標識ヨウ化メチル合成装置・試薬及び合成カラムの調製を行い、^<11>Cヨウ化メチルを合成した。これにより、^<11>C-flumazenil標識合成の準備が整った。耳鳴に関係する大脳皮質領域は解明が進みつつあるが、大脳基底核等の関与についてはあまり報告されていない。今後、^<11>C-flumazenilを用いた検査によって、耳鳴へのそれらの脳部位の影響が解明されると考えられる。
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Research Products
(1 results)