2004 Fiscal Year Annual Research Report
フリーラジカル、アポトーシスの制御による内耳感覚細胞障害の再生の分子生物学的研究
Project/Area Number |
15390519
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
工田 昌也 広島大学, 病院, 講師 (00179590)
|
Keywords | 内耳 / 老人性難聴 / フリーラジカル / HSP / 感覚細胞 / ゲンタマイシン / 中耳炎 / 抗酸化剤 |
Research Abstract |
本年度は研究計画に従い内耳障害の基本的機序にはフリーラジカルとアポトーシスが関係していること、耳毒性薬剤による障害が、抗酸化剤、NOS抑制剤、ニューロトロフィン、アポトーシス抑制剤により軽減されることを、in vitroの実験系を用いて明らかにした。さらに、これらの感覚細胞障害軽減作用には各種薬剤によりフリーラジカルの産生が制御され、それによりアポトーシスが抑制されたことが強く関わっていることが明らかとなった。続いて、各種薬剤の併用効果を検討した結果、抗酸化剤+ニューロトロフィンというような作用機序の異なる薬剤の組み合わせで相乗効果が得られることが確認された。また、感覚細胞障害予防の観点から、HSPに注目しその内耳での働きを検討した結果、テプレノンの投与により、内耳に安全にHSPが誘導され、それにより感覚細胞障害の予防効果が発現することが明らかとなった。また、ラット感染モデルを用いた実験で抗酸化剤が聴力障害を予防する効果があること、抗酸化剤は鼓室内投与、全身投与のいずれでも有効であることが明らかとなった。さらに、実際の臨床レベルでメニエール病のめまい、難聴に関して抗酸化剤を投与して治療効果を検討した結果良好な成績が得られた。加えて老人性難聴に対しても抗酸化剤による治療が有効であることを臨床的に確認した。一方、内耳障害の機序の一つとして中耳からLPSが効率に内耳に移行すること、移行経路には様々な経路があることを明らかにした。 これらの成果は第14回日本耳科学会、第63回日本めまい平衡医学会で発表されると共に6編の論文にまとめられた。
|
Research Products
(6 results)