2003 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障の視神経障害と神経細胞死の病態機構の解明に関する研究
Project/Area Number |
15390526
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
阿部 春樹 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40018875)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白柏 基宏 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50242417)
福地 健郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (90240770)
長谷川 茂 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90228445)
八百枝 潔 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員
上田 潤 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員
|
Keywords | 緑内障 / 視神経細胞死 / ミトコンドリア / カスパーゼ / アポトーシス / スキャニングレーザーポラリメータ / レーザースペックルフローグラフィー / 視神経乳頭微小循環 |
Research Abstract |
<基礎的アプローチとして> ラット眼を用いた眼圧上昇モデルを、墨汁の前房内注入後、反復隅角光凝固を施行した慢性モデルと、1回の隅角光凝固後ヒーロンVを前房内注入した急性モデルとに分けて作製した。得られた試料からパラフィン切片を作製し、免疫組織化学的に解析を行った。抗体には、ミトコンドリアを介した神経細胞死に関係すると考えられる、GFAP、mito-tracker、シトクロームc、活性型caspase-3を用い、細胞死の指標としてTUNEL法を用いた。急性モデルでは、処置後12時間からGFAPの視神経乳頭での活性がみられ始め、それに引き続いてアポトーシスのcascadeに関わるいくつかの因子で活性化が確認された。今後それぞれの蛋白の空間的・時間的増減について検討する予定である。一方、サルを用いた実験は、倫理委員会の通過、入手困難などの理由で平成15年10月からようやく飼育が開始されたところであり、現在眼圧上昇モデルの作製中である。 <臨床的アプローチ> 健常眼及び緑内障眼に対し、新しい角膜偏光代償器を搭載したスキャニングレーザーポラリメータを用いて、緑内障検出力について検討したところ、緑内障診断の感度と特異度は各々91.1%および88.9%であり、両者とも高値を示した。 一方、レーザースペックルフローグラフィーを用いて、正常眼圧緑内障眼および原発開放隅角緑内障眼で、視神経乳頭微小循環と視野障害の相関について比較検討したところ、前者では有意な相関があったものの、後者では有意な相関がなく、両疾患の病態生理に違いがあることがわかった。 緑内障眼における網膜神経線維層厚と視神経乳頭微小循環の相関については、今後引き続き検討する予定である。
|
Research Products
(16 results)
-
[Publications] 佐々木 亮: "放射線状角膜切開術後に発症したステロイド緑内障の1例"日本眼科学会雑誌. 107. 213-218 (2003)
-
[Publications] 白柏 基宏: "緑内障眼における新しいGDx Accessのパラメータと視野障害との関係"あたらしい眼科. 20. 847-849 (2003)
-
[Publications] Kiyoshi Yaoeda: "Relationship between optic nerve head microcirculation and visual field loss in glaucoma"Acta Ophthalmologica Scandinavica. 81. 253-259 (2003)
-
[Publications] 白柏 基宏: "GDx VCCによる緑内障検出力"あたらしい眼科. 20. 1019-1021 (2003)
-
[Publications] Masaaki Seki: "BDNF is Upregulated by Postnatal Development and Visnal Experience : Quantitative and Immunohistochemical Analyses of BDNF in the Rat Retina"Investigative Ophthalmology & Visual Sciecce. 44. 3211-3218 (2003)
-
[Publications] Keigo Sekiya: "Long-term Fundus Changes Due to Fundus Albipunctatus Associated with Mutations in the RDH5 Gene"Archives of Ophthalmology. 121. 1057-1059 (2003)
-
[Publications] 白柏 基宏: "緑内障眼におけるGDx VCCによる網膜神経線維層厚測定"あたらしい眼科. 20. 1163-1165 (2003)
-
[Publications] 福島 淳志: "健常眼における塩酸ブナゾシン点眼の視神経乳頭微小循環への影響"あたらしい眼科. 20. 1173-1175 (2003)
-
[Publications] 白柏 基宏: "緑内障診療の情報交換"眼科. 45. 1137-1143 (2003)
-
[Publications] Mikio Ichibe: "Surgical Management of Retinal Detachment Associated With Myopic Macular Hole : Anatomic and Functional Status of the Macula"American Journal of Ophthalmology. 136. 277-284 (2003)
-
[Publications] 白柏 基宏: "正常眼圧緑内障の乳頭所見"あたらしい眼科. 20. 1357-1361 (2003)
-
[Publications] Atsushi Miki: "Decreased Activation of the Lateral Geniculate Nucleus in a Patient with Anisometropic Amblyopia Demonstrated by Functional Magnetic Resonance Imaging"Ophthalmologica. 217. 365-369 (2003)
-
[Publications] 白柏 基宏: "スキャニングレーザーポラリメトリーによる網膜神経線維層解析"神経眼科. 20. 392-398 (2003)
-
[Publications] 白柏 基宏: "図説 よくわかる緑内障検査法"メディカルレビュー社. 49 (2003)
-
[Publications] 阿部 春樹: "Frontiers in Glaucoma"メディカルレビュー社. 6 (2003)
-
[Publications] 阿部 春樹: "阿部春樹教授開講10周年記念講演会"新潟大学大学院医歯学総合研究科生体機能調節医学専攻感覚統合医学講座視覚病態学分野. 23 (2003)