2005 Fiscal Year Annual Research Report
眼ヘルペス感染症におけるウイルス増殖・免疫反応に関する分子機構の解明
Project/Area Number |
15390531
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井上 幸次 鳥取大学, 医学部, 教授 (10213183)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 大 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (30346358)
|
Keywords | 単純ヘルペスウイルス / 上皮型角膜ヘルペス / 実質型角膜ヘルペス / real-time PCR / 三叉神経節 / サイトカイン / ケモカインレセプター / Th1細胞 |
Research Abstract |
ウイルス増殖とヘルペス性眼疾患の病態について臨床例で検討した。ヘルペス性が考えられる、あるいはヘルペスを除外診断する必要のある炎症性眼疾患患者91例146検体にてreal-time PCR法にてHSV(単純ヘルペスウイルス)-DNA量を測定し、その患者の病態との関係を検討した。その結果、上皮型角膜ヘルペスの定型例の涙液では陽性率100%、HSV-DNA平均コピー数5.35×10^6、角膜擦過物では陽性率100%、平均コピー数7.75×10^7と高い値を示したが、上皮型角膜ヘルペス非定型例では陽性率71.4%で、一部を除いて涙液・角膜擦過物とも10^2〜10^3コピーレベルであった。また実質型角膜ヘルペスの涙液では、定型例でも50%、非定型例では38.9%と陽性率が低く、コピー数も10^2〜10^3コピーレベルであった。またヘルペスを除外診断する目的でおこなった症例でも12.3%で陽性となり、やはり10^2〜10^3コピーレベルを示した。これは角膜局所の炎症によって潜伏感染しているHSVが二次的に再活性化してくるためと考えられた。これらの結果よりreal-time PCR法にて、10^4コピーレベル以上のHSV-DNAが検出された場合は、単独でも診断的意義が極めて高いと考えられた。しかし、10^3コピーレベル以下の場合は、HSVが病因と考えられる症例と、そうではない症例が混在しており、臨床所見や治療に対する反応などを勘案して、診断をおこなうべきであると考えられた。 ヘルペスの免疫反応についてはマウスヘルペス性角膜炎モデルにおいて、主としてTh1細胞に表現されているケモカインレセプターであるCCR5(MIP-1αやRANTESがリガンド)とCXCR3(IP-10がリガンド)の各々のknockout mouseとdouble knokcout mouse(DKO)を用いてHSVを角膜感染させた。その結果、これらのマウスではC57BL/6に比較して角膜混濁が軽症となり、DKOでもっとも低いスコアを示した。ウイルスの力価については感染5日目の三叉神経節でのみ、DKOで有意に高い以外は差が出ず、またDKOでは。角膜切片の免疫組織化学でCD3,CD4の著明な低下、RNase protection assayで各種サイトカインの著明な低下を示し、ウイルス増殖を惹起せず、角膜混濁が抑制される理想的な状態となっていることが判明した。
|
Research Products
(2 results)