2004 Fiscal Year Annual Research Report
直腸肛門奇形の発生過程におけるShhならびに特異的レセプターの動態学的解析
Project/Area Number |
15390534
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岩井 直躬 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (90128695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下竹 孝志 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (90254341)
木村 修 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (10315963)
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Keywords | 直腸肛門奇形 / 胎生学 / シグナル伝達系 / Shh / tethered cord syndrome |
Research Abstract |
Retinoic acid (all-trans-retinoic acid)は、retinoic acidに結合した核内受容体(RAR)がレチノイドX受容体(RXR)と呼ばれる9-cis retinoic acidが結合する受容体とヘテロダイマーを形成し、様々な細胞分化、形態形成、細胞死に必要な遺伝子の発現を調節すると考えられている。一方Hox遺伝子は、胎生期における後腸の管腔形成や、後腸の上皮や間葉における細胞分化の時期よりかなり早期に発現を認め、Hox遺伝子の下流でSonic hedge hog (Shh)が内胚葉やその分化した器官で発現し、器官分化と共に尾側から直腸肛門領域にかけて発現していく。本研究課題では、これらの遠位消化管のパターン形成や各器官の分化に深く関わっている遺伝子蛋白ShhおよびBMP4に着目し、retinoic acidを投与して作成された直腸肛門奇形マウスにおける発現の変化を調べた。本年度は、一連の研究課題に供するための再現性ある実験モデルを既に確立しており、特に臨床例における所見との相関について検討を行った。すなわち、妊娠9日目のICRマウスにRetinoic acid10mgを過剰投与し、妊娠マウスを各胎齢にて頚椎脱臼により犠牲死させ実体顕微鏡下に胎仔を摘出、胎生標本を経時的に得て形態学的変化をとらえた。その結果、高い再現性をもって発生が確認された直腸肛門奇形モデルマウスにおいて、骨盤底筋群及び脊髄の発生異常(tethered cord syndrome)としての病態発生のメカニズムが、本シグナル伝達系の発生学的変異と密接に相関することが明らかになった。これら臨床的に極めて重要な意義を有する病態の解明を目的としてさらに詳細な研究を次年度以降に進展させることとし、これまでの結果をpublicationした。
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Research Products
(6 results)