2004 Fiscal Year Annual Research Report
顎顔面形態成に関わるリン酸化シグナル伝達機構のプロテオーム解析
Project/Area Number |
15390559
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 弘資 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (10313230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一條 秀憲 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (00242206)
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Keywords | リン酸化 / シグナル伝達 / プロテオーム / 形態形成 |
Research Abstract |
p38MAPキナーゼ経路はリン酸化反応を用いた細胞内情報伝達系であり、分化の制御や発生過程でのアポトーシスの制御に重要な役割を担っていることが明らかとなっている。われわれは、この経路の上流の制御分子であるASK1の恒常的活性化型変異体を発現させ、p38 MAPキナーゼを選択的かつ恒常的に活性化させることによりPC12細胞を神経細胞様に分化させる系を確立した。この細胞を用いたプロテオーム解析の結果、tubulinの重合、脱重合を制御するリン酸化タンパクであるstathmin-1 (oncoprotein-18)がp38のリン酸化標的分子であることを明らかにした。現在、stathmin-1をp38による細胞分化の過程でのエフェクター分子の一つとして位置づけ、その機能の解析を進めている。一方、さらに形態形成におけるp38経路の役割を個体レベルで検討するため、ASK1の恒常的活性化型変異体をショウジョウバエ個体にGAL4/UASシステムを用いて部位特異的に発現させ、その効果を検討した。その結果、背側正中領域にこの変異体を発現させた際に、成虫において異所性の黒色の色素沈着が認められた。ドミナントネガティブ型p38を発現するハエ個体においてはこの表現型は認められないことから、p38によってこのような現象が制御されていることが示唆された。また、この表現型を指標とした染色体欠失系統の遺伝学的スクリーニングを行ったところ、哺乳類細胞においてドーパミン産生に関わることが知られている転写因子が、p38経路の下流で機能している可能性が示された。この転写因子はp38による機能的細胞分化において非常に重要な役割を担っているものと考えられ、さらにp38による制御機構を中心に検討を進めている。
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Research Products
(4 results)