2006 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーと試作高分子系歯髄保護材の直接歯髄覆罩効果と創傷治癒メカニズムの解明
Project/Area Number |
15390578
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
加藤 喜郎 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (20060452)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新海 航一 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教授 (90147843)
海老原 隆 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (40287777)
鈴木 雅也 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助手 (10409237)
白野 学 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (40339453)
|
Keywords | リン酸カルシウム塩 / 試作ボンディング材 / 直接歯髄覆罩 / EPMA / SD系ラット / CO_2レーザー / 免疫組織化学的観察 / 実験病理組織学的観察 |
Research Abstract |
修復象牙質形成促進剤として、リン酸カルシウム塩を試作モノマー液に添加し覆罩剤としたものを対象に、SEM、EPMAおよびICP発光分析装置を用いて観察した。その結果、1)硬化物中でリン酸カルシウム塩はフィラー状に分散しCa、P、Mg元素を含む複合化合物となるが、分散は使用時の振動や攪拌操作に影響される傾向にあった。2)CaとPは一致して相対的に高い濃度を示したが、Mgはすべての試料で低く、線分析のみでわずかに検出された。3)Ca、Pの溶出がみられたが、溶出量は溶解度積(Ksp)により影響されリン酸カルシウム塩の種類により差がみられた。4)直接歯髄覆罩剤として露髄部に用いると、特にCa、P元素の添加効果によって修復象牙質の形成が促進され、治癒の確実性が増し、初期修復性変化の遅延改善に役立つものと推察された。 各種リン酸カルシウム塩を添加した、試作ボンディング材12種でラット露髄部に対し直按歯髄覆罩を行い、その後の創傷部の炎症性変化および修復性変化を免疫組織化学的ならびに実験病理組織学的に検討した。その結果、各種リン酸カルシウム塩に硬組織誘導能があることが確認され、総じてウイトロカイトを含む実験群の形成量が多いことが判明した。すなわち、直接歯髄覆罩からコンポジットレジン最終修復までを接着性レジンシステムのみで終始しうる可能性があることが示唆された。 CO_2レーザーの照射条件を3群とし、4種のリン酸カルシウム塩添加試作ボンディング材で直接歯髄覆罩を行い、歯髄の治癒態度について検討した結果、統計学的有意差が認められなかったものの、レーザーの照射出力が弱いほど治癒が速く、象牙質橋の形成が良好であり、Dycal【○!R】に相当する直接歯髄覆罩効果があることが明らかとなった。 なお、設備備品として購入した測定顕微鏡(MM-40・L3T1、ニコン)一式は、すべての病理標本上で露髄径を測定する際に用いられた。 【研究協力者】 1)クラレメディカル(株)社長付き開発研究シニアスタッフ(研究職)山内淳一、高分子系歯髄保護兼ボンディングシステムの試作・開発。 2)日本歯科大学大学院新潟生命歯学研究科硬組織機能治療学専攻 大学院生 加藤千景、荻須崇仁、研究実施計画全般。
|
Research Products
(5 results)