2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄の自然免疫応答における樹状細胞の役割に関する研究
Project/Area Number |
15390579
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
石井 信之 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (20163610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 清子 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (70148021)
槻木 恵一 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (00298233)
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Keywords | 樹状細胞 / Toll-like receptor / 象牙芽細胞 / 定量PCR法 / 酵素抗体染色 |
Research Abstract |
樹状細胞は自然免疫の初期異物処理だけでなく、抗原提示細胞であることが明らかになり、免疫ネットワークにおける1つのセンター的役割を担っていることが示され、その起源、発生、分化成熟過程や機能的役割に注目が集まっている。この樹状細胞が歯髄に多数存在することが知られており、感染を受けた歯髄内において病原認識機構に関与するToll-like receptor 2(TLR2)および4(TLR4)を介した自然免疫機能の発動については十分に明らかにされていない。本年度はマウスに実験的歯髄炎を作製し、象牙細管内に侵入した口腔常在菌に対するTLR2および4の局在および遺伝子発現量を検討した。さらに樹状細胞の樹立を試みた。実験にはBALB/cマウスを用いて、麻酔下で第一大臼歯に窩洞形成を行い、実験的に歯髄に刺激し歯髄炎を惹起させ、3時間、6時間、9時間、12時間、24時間、および72時間でのTLR2および4の局在および遺伝子発現量を経時的変化を検討した。形態的検索のサンプルの作製は、4%パラホルムアルデヒドで24時間固定後、14%EDTA溶液で脱灰し、OCT compoundに包埋およびパラフィン包埋した。TLR2および4の局在は酵素抗体法にて免疫組織化学的に検討した。その結果、象牙芽細胞層を中心とする細胞に、9時間をピークに最も強い発現が認められた。一方、遺伝子発現量の検索のために準備された凍結組織からRNAを抽出し、ライトサーキュラーによる定量PCR法にて遺伝子発現量を定量解析した。その結果、刺激後9時間後にピークを示し、時間の経過に伴い発現量は減少した。従って歯髄刺激後、歯髄表層の細胞が活性化しTLR2および4の発現が上昇することから、感染後初期に自然免疫の発動が示された。樹状細胞の樹立については、現在も進行中である。今後は、Toll-like receptor 2および4陽性細胞が機能的に石灰化に関与しているかについて解析を行い、象牙芽細胞との相互関係を検討する。
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