2005 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における心身と口腔機能との関係を解明するための縦断介入研究
Project/Area Number |
15390582
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
服部 佳功 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (40238035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 一郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20171994)
渡邉 誠 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80091768)
菊池 雅彦 東北大学, 病院・教授 (60195211)
高津 匡樹 東北大学, 病院・助手 (50343033)
荒井 啓行 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (30261613)
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Keywords | 高齢者 / 口腔状態 / 口腔ケア / 介入研究 / 縦断研究 / 歯科検診 / 受診行動 / 教材 |
Research Abstract |
口腔機能の保全は、高齢者の心身機能を健全に維持し、健康寿命を延伸するうえで重要と推察されるが、従来、口腔機能と全身機能や高齢者心理の関係を縦断的に調査した研究は少なく、詳細は不明である。本研究の目的は、高齢者を対象とした歯科的介入に際し、その前後の口腔機能、全身機能の診査を行うことにより、歯科的介入による口腔状態の改善が高齢者の全身機能や心理状態に及ぼす影響を、縦断的に解明することにある。高齢者への歯科介入は、介護予防における口腔ケアなどで今後ますます広範に行われると予想される。この場合、介入手段は集団を対象とする一般的な口腔ケア指導に個別指導を付加する方法や、歯科健診を実施して介入の必要性を個別に評価し、歯科医療機関への受診勧告を行うなどの方法が併用されると推測されることから、本研究ではこれら方法による歯科介入の効果を評価した。 本研究から、一般的な口腔ケア指導と回数限定的な個別指導のみでは、直接の効果と期待される口腔清掃状態の改善効果すら十分ではないこと、また高齢者の歯科受診行動は自身の歯科的愁訴の有無によってもっとも強く影響され、集団歯科健診における受診勧告は高齢者の受診行動を変容させるには効果が希薄であることが判明した。さらに、これと平行して行った歯科医療機関の歯科医師とそこを受診中の高齢者を対象とするアンケート法による意識調査において、多くの高齢者が歯科医師から定期的な口腔ケアを含めた受診勧告を受けたことがないと回答し、歯科医療者の受診勧告が受診の動機付けを行うに不十分との結果が裏付けられた。 以上より、歯科的介入の効果を検討するには、歯科的介入の方法論の整備が必要であることが強く示唆されたことから、本研究の成果を含めた現時点での知見を盛り込み、高齢者を対象に口腔ケアの意義と効果を強く印象付け、動機付けを促す視覚教材(DVDビデオ)が製作された。
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