2005 Fiscal Year Annual Research Report
EGF受容体・シグナル伝達を分子標的とする口腔がん治療の基礎的検討
Project/Area Number |
15390610
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Research Institution | GIFU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
柴田 敏之 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50226172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 淳一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50192703)
土井田 誠 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90313890)
山下 知巳 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (80345793)
牧田 浩樹 岐阜大学, 医学部附属病院, 助手 (50345790)
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Keywords | SCC / HUMAN / EGF / INVASION / EGF RECEPTOR / PKC |
Research Abstract |
近年、がん細胞内分子を標的とする薬剤の開発が進められ、臨床応用が図かられて来ている。この中で、EGF受容体ならびにそのシグナル伝達物質(PKC,PI3K等)を標的分子とするものが開発され、注目と議論がなされて来ているが、作用機序については検証すべき部分も多いままとなっている。そこで、本研究では、より詳細なEGF刺激のシグナル伝達様式を解明し、これらシグナル伝達物質を標的とする薬剤の効果を検証すると伴に、口腔がんの浸潤転移能獲得機序および分子標的治療のKey Pointを明らかとすることを目標として展開している。これまでの成果と今年度の成果を包括すると…、 1:EGF刺激後のPKC活性化に関与するPKC分子種間のクロストーク機序の解明 これまでの結果、浸潤シグナル(運動能亢進シグナル)がEGF高感受性クローンでは、 [EGF受容体リン酸化(erbBホモ二量体)⇒PLCγ活性化⇒PKC活性化]又は [EGF受容体リン酸化(erbB,erbB3ヘテロ二量体)⇒PI3K活性化⇒PKCの活性化] の2つの経路により伝達され、nPKCδ,aPKCξの2つの分子種が関与していることが示された。 このことは、単にpanPKCを抑制するのではなく、分子種を特定し、これを特異的に抑制することによって、同等の効果が得られ、副次的作用を回避できる可能性を示唆した。 2:EGF刺激高感受性クローン、低感受性クローン間におけ遺伝子発現の差異 高感受性クローン、低感受性クローンを用い、EGF刺激後の遺伝子発現の相違をDNAマイクロアレーにて検討した所、発現増強するもの減弱するもの各々50種ほどの既知の遺伝子が有意に変化していた。 即ち、EGF刺激が単純にPKCシグナルのみに作用するのではなく、かなり多くの分子を動員したカスケードが構築されている可能性を示唆した。 3:ラットがん細胞およびヒト口腔がん細胞にEGF刺激を加えると、細胞質内にreactive oxygen radicalsが誘導され、これに呼応してDNA damage productsの増加と形質変換(運動能・浸潤能の増強等)が観察された。このことは、単にEGF刺激が受容体を介するシグナル伝達のみならず、受容体を介さない系も示唆された。
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Research Products
(6 results)