2003 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍T細胞の活性化あるいは不活化に関わる扁平上皮癌関連抗原の解析
Project/Area Number |
15390618
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 誠司 九州大学, 大学病院, 講師 (60189040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白砂 兼光 九州大学, 歯学研究院, 教授 (30093420)
吉田 裕樹 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (40260715)
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Keywords | 免疫 / 扁平上皮癌 / T細胞 / 腫瘍関連抗原 / サイトカイン / 活性化 / 不活化 / アポトーシス |
Research Abstract |
癌に対する生体防御機構の一つとしてT細胞を中心とした免疫応答が重要な役割を担っていると考えられている。本研究の目的は、口腔扁平上皮癌に対する抗腫瘍T細胞のT細胞レセプター(TCR : T cell receptor)およびその認識抗原を同定し、その中でも特に抗腫瘍T細胞の活性化あるいは不活化に関わる扁平上皮癌関連抗原を同定することである。今年度に得られた研究実績は以下のとおりである。 1.口腔扁平上皮癌に対する抗腫瘍T細胞が発現するTCRおよびその認識抗原の同定 担癌患者の末梢血単核球にSART-1の抗原ペプチドを加えて培養すると細胞障害性T細胞が誘導できた。すでに報告されている他の癌関連抗原についても検討したが、SART-1が最も高頻度に細胞障害性T細胞が誘導できたSART-1刺激で誘導されるT細胞のTCR Vβ遺伝子を解析したところ、生検腫瘍組織内で強く発現されているTCR Vβ遺伝子と同一のものが含まれていた。さらに、担癌患者の末梢血単核球を自家癌で刺激しても細胞障害性T細胞が誘導でき、発現するTCR Vβ遺伝子には同様のTCR Vβ遺伝子と同一のものが含まれていた。以上のように、SART-1は多くの口腔扁平上皮癌で発現されている最も普遍的な癌関連抗原であることが示され、さらにSART-1を認識する抗腫瘍T細胞が発現するTCR遺伝子も同定できた。今後はSART-1を認識する抗腫瘍T細胞が発現するTCR遺伝子をクローニングし、SART-1を用いた抗腫瘍ワクチン療法の改良や効果判定に役立てる予定である。 2.免疫応答を調節する口腔扁平上皮癌関連抗原の検討 免疫応答を調節する分子として、HLA抗原であるクラスIおよびII抗原・共刺激分子であるCD80、CD86、接着分子であるICAM-1を、癌関連抗原としてはRCAS1に注目し、口腔扁平皮上癌による発現を検討した。その結果、HLA抗原の発現異常はみられなかったが、CD80、ICAM-1、RCAS1の発現先進がみられた。間質反応が強い症例ではCD80とICAM-1の発現亢進が一度にみられ、RCAS1の発現がみられた症例の腫瘍周囲にはアポトーシスを起こしたリンパ球が高頻度にみられた。以上のように、癌細胞による免疫応答調節分子の異常発現が示唆され、今後は異常発現の機序やその機能について検討を加える予定である。
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