2003 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における放射線・化学・温熱療法施行後のアポトーシス関連遺伝子発現応答
Project/Area Number |
15390620
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
桐田 忠昭 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70201465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 武雄 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60094554)
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Keywords | p53 / アポトーシス / X線 / 温熱 / DNAアレイ / グリセロール / 分子シャペロン / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
(目的)癌抑制遺伝子p53は放射線やDNA障害剤のような遺伝子毒性ストレスだけでなく、温熱や低温、低pHのような非遺伝子毒性の生理的ストレスでも活性化され、癌細胞がアポトーシスへ動くことがわかってきた。今回我々は、p53表現型が正常型として働いているヒト舌扁平上皮癌細胞株SASについて放射線および温熱処理を行い、アポトーシス関連の遺伝子発現をDNAアレイで詳細に解した。 (方法)SASにコントロールベクター(pCMV-Bam-neo)を導入したSAS/neo細胞(正常型p53)と変異型p53遺伝子(pC53-248、codon 248 Arg→Tip)を導入したSAS/mp53細胞(変異型p53)を使用した。SAS/neo細胞の10%生存率相当X線照射(6 Gy)、温熱処理(44℃,40分)を行い、各処理3,6,12,24,48時間後の細胞からトータルRNAを抽出した。mRNAを精製し、cDNAを合成する際に[α-^<33>P]-dCTPでラベルしたDNAアレイはR&D SystemsのHuman Apoptosis Expression Arrayを使用した。DNA array メンブレンにcDNAをハイブリダイズした後、蛍光イメージスキャナーにて画像をコンピューターに取り込み、NIH Imageで画像解析を行った。非処理の細胞からのmRNAをコントロールとした。 (結果、考察)X線と温熱によってアポトーシスが誘導されたが、アポトーシス関連遺伝子の経時的発現量は大きく異なっていた。Caspase-8,9,10やDFF40といったアポトーシス促進系の遺伝子は、X線の方で強く増加していたにもかかわらず、D_<10>におけるアポトーシス頻度は温熱の方が高いという結果であった。その理由のひとつとしてX線では温熱と比べてARC,IAP,MDM2などのアポトーシス抑制系の遺伝子発現も多かったことが考えられた。今後、グリセロールによる変異型p53遺伝子の正常化や、実際のタンパク発現などについて更に検討を進めていかなければならない。
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Research Products
(1 results)