2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害患者の摂食・嚥下障害に対する治療、介護システムの確立
Project/Area Number |
15390623
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山下 夕香里 昭和大学, 歯学部, 講師 (50260906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道脇 幸博 昭和大学, 歯学部, 助教授 (40157540)
高橋 浩二 昭和大学, 歯学部, 助教授 (40197140)
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Keywords | 嚥下造影検査 / 米飯検査食 / イオアガー / 摂食・嚥下障害 |
Research Abstract |
摂食・嚥下障害者に適切な形態の米飯を提供する目的で、米飯の形態や物性の相違における誤嚥のリスク変化について検討した。対象は、摂食・嚥下障害の診断で米飯検査食(常飯、軟飯、全粥、全粥ミキサー)による嚥下造影検査を施行した36名(男性24名、女性12名、平均年齢69.2±13.0歳)である。摂食・嚥下障害の原因疾患では、脳梗塞が最も多く17名、次いで脳出血9名、肺炎後の廃用萎縮症候群6名、その他4名であった。 その結果、誤嚥は36名中7名でみられ、全てイオアガー1によるものであり、米飯検査食とイオアガー1との間には誤嚥の頻度に関して統計学的な有意差を認めた(p<0.0001)。また喉頭侵入は36名中7名にみられ、イオアガー1と全粥ミキサー以外の米飯検査食では、喉頭侵入の頻度に統計学的な有意差を認めた(p=0.0004)が、全粥ミキサーとイオアガーの間には統計学的な有意差を認めなかった。また、喉頭蓋谷、梨状陥凹、喉頭口周囲の残留については、イオアガー1,米飯検査食とも残留傾向にあったが、検査食間の有意差はなかった。 したがって、全粥ミキサー以外の米飯は、咽頭内に残留するものの誤嚥や喉頭侵入はなく、比較的安全に摂取できる可能性があると考えられた。また物性に関する検討から、嚥下前・嚥下中の誤嚥や喉頭侵入などの誤嚥のリスクには、米飯の硬さや付着性の大きさが関連していると考えられた。また摂食・嚥下障害者に提供されることの多い全粥ミキサーの安全性については疑問があると思われた。 そのため、今後、摂食・嚥下障害患者に適切な米飯を提供するには、口腔や咽頭の状態、米飯の温度や保存状態などについても検討していく必要があると思われた。
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Research Products
(4 results)