2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害患者の摂食・嚥下障害に対する治療、介護システムの確立
Project/Area Number |
15390623
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山下 夕香里 昭和大学, 歯学部, 講師 (50260906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道脇 幸博 昭和大学, 歯学部, 助教授 (40157540)
高橋 浩二 昭和大学, 歯学部, 助教授 (40197140)
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Keywords | 米飯 / 全粥ミキサー / 軟飯 / 常飯 / 嚥下造影検査 / 誤嚥 |
Research Abstract |
摂食・嚥下障害者に適切な形態の米飯を提供する目的で、米飯の形態や物性の相違における誤嚥のリスク変化について検討した。対象は、摂食・嚥下障害の診断で米飯検査食(常飯、軟飯、全粥、全粥ミキサー)による嚥下造影検査を施行した36名とし、対照検査食は、誤嚥診断について感度のよいイオアガーとした。 その結果、誤嚥は36名中7名でみられ、全てイオアガー1によるものであった。また喉頭侵入は36名中6名がイオアガー1によるものであった。しかし、米飯検査食では全粥ミキサーで2名で喉頭侵入が認められただけで、全粥と軟飯、常飯では、誤嚥も喉頭侵入も認めなかった。したがって、イオアガー1や全粥ミキサーのように流動性がある食品のほうが誤嚥のリスクが高いことが示された。 全粥ミキサーは、咀嚼や舌運動に機能低下がある患者に対して、それらの機能低下を補う目的から選択される。また、消化・吸収の面から胃腸の負担を軽減する効果もある。しかし、米飯検査食の中で比較すると、唯一、喉頭侵入を認める症例があったことから安全性が高いとは言い難い。特に、嚥下反射の遅延が認められる患者に対しては注意が必要である。また、すでに報告したように米飯に対する官能検査の結果、全粥ミキサーに対する評価はきわめて低いため、「安全性」だけでなく「おいしさ」の観点からも再考の余地がある。 なお本研究の結果では、全粥ミキサーと全粥、軟飯、常飯での誤嚥のリスクに差はなかった。また全粥ミキサー以外の米飯はおいしさの観点でも評価が高い。そのため、経口摂取が可能な嚥下障害患者に対しては、全粥や軟飯の適応が見直されるべきではないかと思われた。
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Research Products
(14 results)