2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害患者の摂食・嚥下障害に対する治療、介護システムの確立
Project/Area Number |
15390623
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山下 夕香里 昭和大学, 歯学部, 兼担講師 (50260906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道脇 幸博 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (40157540)
高橋 浩二 昭和大学, 歯学部, 助教授 (40197140)
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Keywords | 嚥下障害 / ゼラチン / 寒天 / 食形態 |
Research Abstract |
摂食・嚥下障害者に適切な食形態を提供する目的で、ゼリーの素材の違いと誤嚥のリスク変化について検討した。 対象は、摂食・嚥下障害の診断で検査食(ゼラチン、寒天、ゼラチン・寒天ミックス)による嚥下造影検査を施行した52名(男性31名、女性21名、平均年齢73歳)である。嚥下障害の原疾患の内訳は、脳血管障害患者46名、肺炎後廃用萎縮症候群2名、その他4名である。3種類のゼリーは硬さと付着性を調整して同程度にしたものである。評価には嚥下造影検査を使用し、食塊形成、嚥下前の咽頭流入、口腔内残留、喉頭蓋谷残留、喉頭口周囲残留、食道入口部残留、喉頭侵入、気管内侵入の8項目について検討した。 その結果、全ての評価項目で3種類のゼリーについて統計学的な有意差を認めなかった。各ゼリーの特徴としては、ゼラチンでは口腔内残留時間が長くなるとゼラチンが融解して液体に変わり、嚥下前の咽頭流入や気管内侵入を起こす症例があった。寒天ゼリーでは口腔内の残留は少なかったが、咀嚼された寒天ゼリーが咽頭内でばらついて誤嚥につながることがあった。ゼラチン・寒天ミックスゼリーでは、溶解する事も粉砕されて散乱することもなく、気管内侵入を示した症例もなかった。 したがって、機械的な性質を同じくして比較するとゼラチンと寒天、ミックスゼリーに関して統計学的な有意差はなく、摂食・嚥下障害者に適した食物を特定の素材に限定する事はなく、むしろ症例に応じて特徴を生かすことが重要と考えられた。
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