2005 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス異常による亜鉛欠乏性味覚障害の病態生理と臨床知見
Project/Area Number |
15390629
|
Research Institution | Asahi University School of Dentistry |
Principal Investigator |
中島 清人 朝日大学, 歯学部, 助教授 (30102122)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
硲 哲崇 朝日大学, 歯学部, 助教授 (90243154)
勝川 秀夫 朝日大学, 歯学部, 助手 (00076051)
|
Keywords | 亜鉛欠乏 / ラット / マウス / 味覚異常 / 食塩嗜好性 / 行動応答 / 味覚嫌悪学習 / ホルモン調節 |
Research Abstract |
本年度は、味の識別性と塩類の摂取行動に及ぼす亜鉛欠乏の影響についてと、Na代謝関連ホルモンが亜鉛欠乏による食塩嗜好性の亢進にどのように関与しているかについて調べ、下記の成果を得た。 1.味の識別性に及ぼす影響 味質が判別できないヒトの「錯味症」が亜鉛欠乏ラットで発症するかどうかを明らかにするため、四基本味のいずれかで味覚嫌悪条件づけしたときの般化パターンを調べた。その結果、正常・欠乏群とも四基本味のそれぞれに対して味覚嫌悪を獲得したが、両群の般化パターンに有意差はみられなかった。以上から、亜鉛欠乏ラットで「錯味症」が発症する可能性は小さいことが示唆された。 2.塩類の摂取行動に及ぼす影響 塩類の摂取行動に及ぼす亜鉛欠乏の影響を調べるため、マウスの各種塩類溶液に対するリック数を測定した。その結果、KClのリック数はアミロライド(Ami)添加によって正常群では増加していたが、欠乏群では変化が見られなかった。CaCl_2のリック数は欠乏群が正常群に比べて少なかった。しかし、NaClのリック数はAmi添加の有無にかかわらず、両群ともに同じであった。以上から、亜鉛欠乏がKCl, CaCl_2の味質又は味の強度を変化させる可能性が示唆された。 3.食塩嗜好性亢進におけるNa代謝関連ホルモンの関与 Na代謝関連ホルモンが亜鉛欠乏ラットの食塩嗜好性亢進に関与しているかどうかを明らかにするため、ラット血中のNa、アルドステロン、アンギオテンシン及び尿中Naの動態を調べた。その結果、欠乏群の血中Naは正常群やpair fed群よりも低い傾向を示し、尿中Naは欠乏群がpair fed群よりも高い傾向を示した。アルドステロンは、欠乏群が正常群やpair fed群よりも高い値を示し、逆にアンギオテンシンは低い傾向にあった。以上から、アルドステロンが亜鉛欠乏によるNa嗜好性の亢進に関与していることが示唆された。
|
Research Products
(3 results)