Research Abstract |
1 目的 筋スパズムを含め,顎口腔系における痛みの生理的メカニズムを理解するには,交感神経-体性神経の関連性を考慮に入れた検討が必要である.本研究は,顎口腔系への侵害受容刺激が自律神経系に及ぼす影響,およびその自律神経系が逆に顎口腔機能系に及ぼす影響について,生理学的に検討することを目的とした。 2 方法 本実験では,痛覚刺激を顎顔面領域に与えたとき,心電図,側頭筋および咬筋の血液動態,血圧の変化が生じるか否かを検討した. 3 結果 痛み刺激に伴う測定パラメータの変化安静1の安定した30秒間の平均を対照とし,残りの区間(痛み刺激タスク,安静1,安静2)における30秒毎の平均と比較し,側頭筋血液動態,咬筋血液動態,心拍数,Lo/Hi, Hi/TPWおよび血圧の変化について検討した.側頭筋について、痛み刺激中にO2HbおよびはcHbが増加した(p<0.05).その増加(p<0.05)は痛み刺激後もつづき,O2Hbは,痛み刺激後4分で,cHbは痛み刺激後5分30秒で,安静1のレベルまで回復した.HHb TOIについては,有意の変化は認められなかった.咬筋について,痛み刺激中にO2HbおよびはcHb増加した(p<0.05).その増加(p<0.05)は痛み刺激後もつづき,O2Hbは,痛み刺激後2分で,cHbは痛み刺激後4分30秒で,安静1のレベルまで回復した.HHb TOIについては,有意の変化は認められなかった.痛み刺激に伴う自律神経系の変化については,血圧,Lo/HiおよびHi/TPWともに咀嚼運動中,運動後のいずれにも有意の変化は認められなかった. 4 結論 痛み刺激は,咀嚼筋の血液動態に深く関与していることが示された.
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