2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラット臼歯モデルでの抜歯窩への後方臼歯の矯正移動と歯根吸収の制御
Project/Area Number |
15390640
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
柳下 寿郎 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (50256989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
添野 雄一 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (70350139)
島津 徳人 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (10297947)
安藤 文人 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (90318543)
青葉 孝昭 日本歯科大学, 歯学部, 教授 (30028807)
中原 リザ子 日本歯科大学, 歯学部, 教授 (90155804)
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Keywords | 歯の矯正移動 / ラット / 臼歯 / μCT / 歯槽骨改造 / 抜歯窩 / 浸透圧ポンプ / 骨形態計測 |
Research Abstract |
歯の移動と保定を目指した歯科矯正治療においては、大きさと方向を定めた矯正力を歯冠部に負荷することにより、歯槽骨の可塑性と力学的負荷に対する適応能を活用している。本研究では、抜歯窩への矯正移動モデルにおいて、全身・局所状態の変動と歯の矯正処置との関連を明らかにする。初年度にあたり、当初の実験計画に沿ってラット上顎臼歯を対象として、第一臼歯を抜歯後に第二臼歯の抜歯窩への近心移動モデルを確立した。実験には雄性SD系ラット(5週齢、実験開始時の体重125g前後)を使用し、一次処置として両側上顎第一臼歯を抜歯し、矯正装置の固定源となる上顎切歯を顎骨へピン止め固定した。抜歯窩の治癒観察のために5日間の日数をおいて、左側抜歯窩後方に位置する第二臼歯にコイルスプリングを設置し、近心への牽引力40gを負荷した(移動側)。反対側の同名臼歯(対照側)には荷重なしに矯正装置を設置した。3日ないし10日間の移動期間を置いて実験動物を灌流固定により屠殺し、移動側と対照側の臼歯試料のμCT像を撮影、その後に組織観察のための脱灰薄切標本を作製した。移動歯と周囲歯槽骨の立体構築像の観察に基づき、歯根膜の狭窄やアンキローシスを随伴しない歯体移動群と、圧迫側での歯根膜狭窄が顕著な傾斜移動群とに判別できた。歯体移動を示した第二臼歯でのμCT立体構築像に基づく形態計測から、近心移動距離0.28(±0.10)mmであり、槽内中隔部での骨改造が進行していたが、歯根膜腔の狭窄やアンキローシスを伴っていないことを確かめた。また、μCT法による非破壊的な3次元形態観察では、臼歯と周囲組織(歯根膜と歯槽骨)とを分離する手法も確立した。以上の実験系ならびに観察手法を拡張して、次年度では体内埋入型浸透圧ポンプにより持続的に生理活性因子を供給した条件下での歯の矯正移動実験を開始する。
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Research Products
(1 results)