2003 Fiscal Year Annual Research Report
口腔ケアが介護家族のQOLに及ぼす効果に関する総合的研究
Project/Area Number |
15390656
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
米満 正美 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (80092451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 晶子 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (90185992)
相澤 文恵 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (80216754)
岸 光男 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (60295988)
森谷 俊樹 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (50316395)
根本 優子 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (10164667)
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Keywords | 高齢者 / 舌苔 / 口臭 / 揮発性硫化物質 / 口腔清掃指標 / 歯周病原性細菌 / 齲蝕病原性細菌 / QOL |
Research Abstract |
1.高齢者の口腔清掃状態を表す指標として,口臭,舌苔付着量の測定および舌苔中細菌の同定を行った。 方法:岩手県内11市町村に在住する85歳の者すべてを対象とした。健康診査に応じた349名からさらに無作為に抽出した185名に対し口臭測定を行い,165名から舌苔を採取した。 結果:無歯顎者においては舌苔付着量と口腔内気体中の硫化水素濃度が関連し,有歯顎者においては残存歯の歯周組織の状態と,口腔内気体中のメチルメルカプタン濃度が関連した。また,舌苔試料中の歯科疾患病原性細菌の検出を試みたところ,齲蝕病原性細菌であるStreptococcus mutansとStreptococcs sobrinusがそれぞれ52.1%,45.5%の者から検出され,歯周病原性細菌であるBacteroides forsythus, Porphyromonas gingivalisおよびTreponema denticolaがそれぞれ63.0%,50.3%および37.6%の者から検出された。以上の結果から,口腔内状況の差違が著しい高齢者においては口臭や舌苔が口腔内清掃状況を表す指標となりうることが示唆された。 2.高齢者の口臭は本人のみならず,介護者の介護負担を強める要因と考えられている。我々は,高齢者対してQOL測定を行い,口臭と本人のQOLの関連について検討した。 方法:上記研究1と同じ対象者についてSF-36を用いたQOL測定を行った。硫化水素とメチルメルカプタンの測定値から嗅覚閾値以上の口臭を有する群と有さない群に分類してQOL測定値を比較した。 結果:SF-36の下位尺度スコアのうち,「活力」,「社会機能」,「こころの健康」の3項目で口臭を有する群の方が高いスコアであった。このことから,会場に検診を受診しに来られる程度にADLが高い高齢者においては,口臭は自身のQOLを低下させる要素ではないことが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 森谷俊樹, 他: "岩手県85歳追跡調査より 85歳における口腔内気体のVSCについて-実態と口腔内所見との関連-"口腔衛生学会雑誌. 53巻5号. 600-607 (2003)
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[Publications] 高橋雅洋, 他: "85歳高齢者における舌苔中のPorphyromonas gingivalisと残存歯の関連"口腔衛生学会誌. 53(4). 412 (2003)