2003 Fiscal Year Annual Research Report
咬合咀嚼機能と聴力との関連性に関する臨床疫学ならびに聴覚野応答解析
Project/Area Number |
15390657
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
松久保 隆 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (90112804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野塚 実 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (90084780)
佐藤 亨 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (50192092)
石川 達也 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (30085708)
藤田 雅文 岐阜大学, 医学部, 講師 (50021449)
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Keywords | 聴覚野応答 / 噛みしめ / 脳磁図計(MEG) / 咬合圧モニタリング装置 / 偏位咀嚼 / 咀嚼部位 / 臨床疫学 / オージオメータ |
Research Abstract |
本研究の目的は、研究-1:偏位性咀嚼習癖を持つ患者の聴力変化の機構を明らかにするため、コットンロール噛みしめ時の聴性誘発脳磁場(AFEs)を定量的に比較検討すること。 研究-2:歯科診療所に来院した患者の偏咀嚼と聴力値との関連性を疫学的に検討すること、である。 研究-1で得られた新しい知見は、 (1)最大咬合圧の20%のコットンロール噛みしめであれば咀嚼筋由来磁場はAFEs測定にほとんど影響しない。 (2)コットンロール噛みしめによる咬合の偏位は、噛みしめ側のAFEsの変化を起こす。 (3)コットンロール噛みしめ時の咬合力を経時的にモニタリング可能な装置を開発した。 である。これらの知見は、臨床症例で示されている偏位性咀嚼による聴力変化の機構を定量的に明らかにする方法としてAEFs測定が有効であることを示している。 現在までの測定は一定の咬合力が働いている条件ではないという問題点があったが、新たに開発した咬合力モニタリング装置によって客観的なAFEs測定が可能となった。 今後は咬合力の経時的モニター装置を用いて咬合圧を大きくした時の咀嚼筋由来の磁場を除去する方法の検索とコットンロール噛みしめによるAFEs変化の機構を明らかにする。臨床症例で示されている咀嚼部位と音域別聴力変化との関連性についても追究する必要がある。さらに、聴覚以外の感覚への噛みしめの影響も検討することによってその機構が明らかにできると考えられる。 研究-1で得られた新しい知見は、咀嚼部位をオージオグラムパターンの特徴で示すことができる可能性が示された。 本研究は、咬合・咀嚼機能の偏位が全身機能に影響を与えていることを示す結果であり、聴力測定による口腔機能低下の新しい診断法と保健指導の確立をもたらすものと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 長坂斉, 中村昭二, 松久保隆, 永原邦茂, 星詳子, 高江洲義矩, 渡辺誠, 石川達也: "オクルーザルパワーゾーンにかかわる咬合機能と聴力値"日歯医会誌. 56(3). 215-224 (2003)
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[Publications] 藤々木英文, 中村昭二, 田中一生, 久馬厚, 星詳子, 永原邦茂, 長坂斉, 渡辺誠, 松久保隆, 石川達也: "咬合と聴力に関する臨床的研究 その2.軽度のTMDをもつ1被験者のオージオメーター測定値(気導聴力)の変動"全身咬合. 9(1). 46-52 (2003)
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[Publications] 佐々木琢磨, 中村昭二, 藤々木英文, 鈴木宏和, 永原邦茂, 星詳子, 長坂斉, 渡辺誠, 松久保隆, 石川達也: "咬合と聴力に関する臨床的研究 その3.有歯顎者における噛み癖と気導聴力値"全身咬合. 9(1). 31-38 (2003)
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[Publications] 長坂斉, 中村昭二, 青木聡, 永原邦茂, 渡辺誠, 星詳子, 松久保隆, 石川達也: "咬合と聴力に関する臨床的研究 その4.咬合関連聴力低下の偏位咀嚼分類(試案)からみた臨床調査"全身咬合. 9(1). 22-30 (2003)
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[Publications] 吉野浩一, 松久保 隆, 高江洲義矩: "コホート調査からみた喫煙量と歯の喪失との関連"口腔衛会誌. 53(2). 98-102 (2003)
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[Publications] Tada, A., Matsukubo, T.: "Relationship between oral health behaviors and general health behaviors in a Japanese adult population"J Public Health Dent. 63(4). 250-254 (2003)