Research Abstract |
看護研究のためのEBNパッケージとして,データ解析支援システムに要求される事項は何かを検討するために,平成15年に全国の看護系大学教員を対象とした調査を実施した。これらの調査データの詳細な解析を行い,国内外の学会等で発表した。主な結果は以下のようである。 回答者は男145名(平均年齢49.1歳),女961名(同41.7歳),不明12名であり,89.1%が看護研究を行っていたが,教授の22.4%がないと回答し,他の職位での0〜8.1%に比べ高率であった。 看護研究の実践経験者では,量的研究が85.9%,質的研究が72.2%と量的研究がやや高かった。質的研究の専門的知識のある695名(69.8%)では,質的研究に関する講義を大学で34.4%,修士課程で54.3%,博士課程で20.3%が経験していた。講習会等への参加は57.3%,自己学習93.3%,勉強会や研究会を67.2%が経験していた。この結果は,大学等の授業では質的研究の学習が不十分であり,自己学習や勉強会等により,質的研究を学習しようとする傾向を示すものと考えられた。 質的研究の信頼性(信憑性)と妥当性について,否定的な意見は極めて少数であった。7割程度の研究者は中間的な立場であり,2割強が質的研究の信頼性や妥当性を確信していた。さらに約半数の研究者が実際に信頼性や妥当性を高めるように研究を実践し,その場合には研究の信頼性や妥当性をより高く評価する傾向が認められた。トライアンギュレーションの実践はそれほど多くはなかったが,質的研究の実践を通じて,質的研究の質に関して,より高く評価するようになるものと考えられた。なお,ホームページ(http://www.clg.niigata-u.ac.jp/~takagi/kakenmenu.html)に研究結果の一部を公表している。
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