2006 Fiscal Year Annual Research Report
看護実践能力を育成するヒューマン・ケアリング・カリキュラムモデルの構築
Project/Area Number |
15390665
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Research Institution | The Japanese Red Cross Hiroshima College of Nursing |
Principal Investigator |
稲岡 文昭 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (40151568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 美香 聖路加看護大学, 看護学部, 准教授 (80276659)
永井 眞由美 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 准教授 (10274060)
戸村 道子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 准教授 (00343682)
石井 智子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助手 (30389126)
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Keywords | ヒューマンケアリング / 看護実践能力 / 教育カリキュラム / 看護基礎教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、看護実践能力の育成を目指し、ヒューマン・ケアリングを教育理念とする4年制看護大学における系統的なカリキュラムモデルの構築(試案)を行うことにある。 本年度は研究の最終年度にあたる。過去3年間、1.国内外の関連文献を検討し、ヒューマン・ケアリング並びに看護実践能力の概念の明確化、2.国内外のヒューマン・ケアリングに関する学識経験者との面接結果を元に、日本赤十字広島看護大学においてのカリキュラムモデルの構築、3.カリキュラムモデルの核となる「ヒューマン・ケアリング論」、および直接関係する「基礎看護学実習」の内容について具体的な教育展開方法を検討し実施した。 本年度は、主に「ヒューマン・ケアリング論」(講義)、および「基礎看護学実習」との統合をはかり、展開した結果について、1)講義と実習を通し、学生がどのようにケアリングを体験したかについての記述による質的分析、および新しいカリキュラムの介入群と対照群において2)ケアリング能力・ケアリング効力感のスケールを用いて量的に分析し比較を行った。 1)質的分析結果からは、学生がトランスパーソナル・ケアリングに向けて認知していた課題として、(1)患者の内面に触れるために自分の前に立ちふさがる絶壁のような壁、(2)患者と複雑かつダイナミックで微妙な治療的対人関係作りへの戸惑い、(3)学生自身が全人的存在としてケアする責任感の重さの3つが特徴付けられた。さらに、学生の心がまえは、「誠実かっ真剣な姿勢」、「謙虚な態度」、「患者の生活上にかかわる価値観の優先」、「非言語的メッセージの感知」、「情感の交流と共有」、「自身の内面に目を向ける努力」が明らかとなった。 また2)ケアリング効力感・ケアリング能力を用いての量的分析結果については、対照群・介入群ともに実習体験そのものが効力感を高めること;ケアリング能力については講義のみでは顕著な成果は現れなかったが、実習後において、介入群のほうが有意にケアリング能力が高いことが明らかとなっている。 以上に加え、これまでの研究結果を系統的に分析・整理し、4年間の実績を研究業績報告書としてのまとめを行った。
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Research Products
(1 results)