2005 Fiscal Year Annual Research Report
生涯発達過程で生じる危機に対する患者と家族のレジリエンスを高める支援システム研究
Project/Area Number |
15390669
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Research Institution | OSAKA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤原 千惠子 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10127293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 京子 大阪市立大学, 医学部, 教授 (30259494)
吉川 彰二 大阪府立大学, 看護学部, 助手 (00326290)
町浦 美智子 大阪府立大学, 看護学部, 教授 (70135739)
大平 光子 大阪府立大学, 看護学部, 助教授 (90249607)
上田 惠子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60300315)
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Keywords | レジリエンス / 生涯発達過程 / 患者 / 家族 / 看護職者 |
Research Abstract |
本研究は、ライフサイクルのそれぞれの時期に生じる健康に関連する危機状況における患者と家族のレジリエンスを高める要因を分析することを目的としている。 本年度は、医療機関で働く看護経験年数3年以上看護職者748名(回収率56.7%)からの回答が得られた調査の分析、ライフサイクルの各時期の対象の面接調査の実施・分析を行い、報告書を作成した。 看護職者を対象とした調査は、看護職者の属性・健康関連ライフイベント体験・看護経験・キャリア認知と患者・家族のレジリエンスを高める援助の必要性と実践との関連を分析した。さらに、専門と認識する看護領域別の看護職者の患者・家族のレジリエンスを高める援助の必要性と実践との関連も分析した。その結果、看護職者は患者へのレジリエンスとして患者自身が存在する周囲の環境を整え、患者自身の問題処理能力を高めることが必要であると認知し、実践していた。家族へのレジリエンスとして、家族が患者のサポーター役となれるように援助し、家族が効果的に社会資源を活用できるための働きかけを強く認知していることが示唆された。 また、ライフサイクルの各時期の対象の面接調査では、妊娠・出産期、小児期、前青年期、老年期の各期の健康面での危機をもつ対象の面接内容から、Grotberg, E.のレジリエンス構成要素、『I Have』『I Can』『I Am』の3要素を抽出した。いずれのライフサイクル期の対象においても、レジリエンスの『I Have』、『I Am』、『I Can』の3要素において具体的なレジリエンス内容が抽出でき、それらは共通する内容を含んでいることが確認できた。健康に関連する危機状況に対して、患者や家族は自身のレジリエンス能力を発揮して、その危機を乗り越えようとしていることが示唆された。 これらの結果から、看護職者による患者・家族のレジリエンスを向上させる支援の方向について考察した。
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