2006 Fiscal Year Annual Research Report
癌治験の被験者への自己擁護技能教育による危険予測と回避を促すアクションリサーチ
Project/Area Number |
15390676
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
稲吉 光子 北里大学, 看護学部, 教授 (60203212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶺岸 秀子 北里大学, 看護学部, 助教授 (20258883)
久保 五月 北里大学, 看護学部, 講師 (60348597)
平田 香織 北里大学, 看護学部, 助手 (30406904)
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Keywords | 概念分析 / がん治験 / 被験者保護 / インフォームドコンセント / リスクベネフィット評価 / アドボカシー / 協働 / 意思決定 |
Research Abstract |
本年度の2つの研究目標から得られた成果を下記にまとめた。 1.「がん治験での被験者保護」の同時概念分析 これまでに同時概念分析は3つの段階でおこなった。(a)2004年(第1段階)は、日本の現状と文献からの概念分析、(b)2005年(第2段階)は、他国の現状と文献からの分析、(c)2006年(第3段階)は、両者を統合した。分析のための4つの概念として、インフォームドコンセント、リスクとベネフィット評価、アドボカシー(advocacy)、協働(collaboration)が選択された。分析では、先行要件、欠かせない特性、成果の内容に関する妥当性を見るための表(validity matrix)とプロセスモデル(process model)に記述して、各概念の共通性を導き、概念を定義した。 結果として、先行条件は「法的規制」「権利放棄」「情報」、欠かせない特性は「倫理性」「科学的妥当性」「安全性」「平等性」「意思決定」、そして成果は「責務」「母集団への利益」「研究参加の意味」であった。同時概念分析から得られたがん治験での被験者保護とは、がん専門職チームの知識と技術を通して、倫理性、科学的妥当性、平等(equipoise)を得るための意思決定である一方、人権擁護を目指す政策や法律による規制である。これは被験者の体験の意味を探求することでもある。 同時概念分析からがん治験での被験者保護を促進する方法の方向性が得られた。これらは先行要件にある3つの共通要素である「法的規制」「権利放棄」「情報」をコントロールする方法を看護の立場から探究していくことである。今後の研究課題として、臨床の相殺(clinical equipoise)について検討していきたい。 2.アクションリサーチとしての研究ネットワーク化 2003年に発足させた「臨床試験とがん看護を考える研究会」は日本がん看護学会「特別関心グループ」として発展した。アクションリサーチとしての成果は得られたが、現段階で、研究成果として論文にすることは困難である。長期間にわたるアクションリサーチとして再検討したい。
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Research Products
(5 results)