2004 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性高齢者における回想法の意義と有効性に関する実証的研究
Project/Area Number |
15390682
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
金川 克子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (10019565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天津 栄子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (30020027)
佐藤 弘美 石川県立看護大学, 看護学部, 助教授 (80199603)
酒井 郁子 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 助教授 (10197767)
田高 悦子 東京大学, 大学院・医学系研究科・健康科学・看護学専攻, 講師 (30333727)
細川 淳子 石川県立看護大学, 看護学部, 助手 (70324085)
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Keywords | 回想法 / 痴呆性高齢者 / 文献レビュー / 回想場面のDVD録画作成 / 家族・ケアスタッフ |
Research Abstract |
研究目的: 痴呆性高齢者に対し、個別的・小集団的なアプローチの開発を行い、現場のケアスタッフおよび痴呆性高齢者の家族が、グループ回想法に見出す意味をあきらかにし、痴呆性高齢者が回想することの意義を構造化することが目的である。 研究方法: (1)最新過去10年間(1994-2003年)における海外の一定水準の研究(原著論文)を基に精読し、痴呆性高齢者を対象とする回想法の有効性と意義に相当する記述の抽出を行った。(2)痴呆性高齢者の回想場面について、DVD録画し、編集及び高齢者自身の家族や担当ケアスタッフに提示するという一連のプロセスを開発し、その効果と課題の抽出を行った。 結果: (1)文献レビューの結果、回想法の有効性については、痴呆性高齢者の心理的機能(抑うつ)の緩和、感情的機能(情緒的雰囲気)の改善、社会的機能(対人交流)の向上、認知的機能(見当識)の改善、quality momentsの増強(well-beingの向上)を示唆された。回想法の意義については、<残存機能の活用><ケアの受け手と担い手における相互作用の享受><次世代への時代の伝承><人生の統合(過去・現在の受容、将来・未来への展望)促進><グループ(コミュニティ)への帰属・相互交流><(回想自体の)心地よく楽しい活動・経験としての享受>を抽出した。 (2)グループ回想場面のDVD録画と編集に関する一連のプロセスを開発し、ケアスタッフと痴呆性高齢者へ提示し、面接調査を行った。結果として、家族3組・ケアスタッフ11名が回想場面に見出した意味は、(1)痴呆性高齢者に潜んでいた豊かな感情の表出や心理的安定がはかられている(2)回想法の刺激材料によって、ほとばしり出てきた過去の記憶を痴呆性高齢者が熱意をもって語る(3)家族自身が高齢者とともに生きた人生を振り返る(4)家族が高齢者との関係性を振り返り、つながりを見出す(5)ケアスタッフが痴呆性高齢者の能力を再発見するという5つの内容にまとめられた。 今後の課題: 今後、2年間で抽出した成果を基盤に痴呆性高齢者に対する回想法の理論と実践の体系化を図る。一方、今回の研究成果をもとに、在宅高齢者のその人らしさをひきだす回想法の研修・普及プログラムの開発を行っていくことである。
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Research Products
(2 results)