2004 Fiscal Year Annual Research Report
ADL対応型高齢者体操の実証的研究:呼吸筋・平衡機能,栄養状態およびQOLの評価
Project/Area Number |
15390686
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
會田 信子 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (80291863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 洋子 成蹊大学, 文学部, 教授 (10054347)
水野 敏子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10153305)
小長谷 百絵 東京女子医科大学, 看護学部, 助教授 (10269293)
浅川 典子 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (00310251)
吉野 克樹 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (50120085)
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Keywords | 高齢者 / ADL対応型高齢者体操 / QOL (quality of life) / 脊柱彎曲レベル / 呼吸機能 / 骨密度 / 重心動揺 / 歩行機能 |
Research Abstract |
養護老人ホームに入居する60歳以上の自立〜要介護3の高齢者41名(平均年齢81歳)に対して、自体重負荷による低強度(15〜20RM)のADL対応型高齢者体操(以下ADL体操)を1回45分、週2回の割合で8ヶ月間実施した。対象者は、ADL体操に週2回参加のH群(11名)、週1回のM群(12名)、ほとんど参加なしのL群(6名)、職員が意図的に参加を促してきた、日常生活機能レベルが他群よりも低いF群(12名)の4群に分けて比較した。4群間における属性の比較では、年齢、ADL得点、IADL得点およびNMスケール得点(痴呆レベル)で、F群が他の3群よりも日常生活動作と精神機能で有意に低値であった。 H・M群は、L群と比較して、%肺活量、1秒率、最大吸気筋力、大腿四頭筋力および重心動揺(静的バランス)において4ヶ月後と8ヶ月後に有意に改善がみられ、歩行機能とQOL(背中や腰の痛み程度,転倒不安)についても、H・M群の改善率がL群よりも高値であった。このことから、ADL体操は自立高齢者にとって安全な体操であり、不動による廃用性筋萎縮や筋肉減少症の進行防止、転倒不安軽減による活動性の向上に寄与する可能性が示唆された。 F群では、呼吸機能、下肢筋力、歩行機能およびQOLに有意な改善がみられ、脆弱な高齢者の筋力増強に効果が期待できることが明らかとなった。しかしその改善率には個人差がみられ、その要因として認知機能低下による体操の追随行為困難や、集中力・注意力低下による体操の中断が原因と考えられた。脆弱な高齢者に対して自立高齢者レベルの集団的運動療法を実施する場合には、アシスタントによる体操中の支援が必要であるほか、短時間・短期間で効果が得られる個別指導法によるマシーンを利用した運動療法を併用することも一つの方法と考えられた。 平成17年度以降も、施設の理解を得て、ADL体操を継続していく予定である。 (以上、800字)
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