2003 Fiscal Year Annual Research Report
グルタメイト脱水素酵素の機能解析:高インスリン高アンモニア血症の発症機構の解析
Project/Area Number |
15390687
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岡野 善行 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60231213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久野 みゆき 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00145773)
川村 智行 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60271186)
稲田 浩 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (00244640)
宮崎 純一 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10200156)
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Keywords | 先天性代謝異常症 / 高インスリン血症 / 高アンモニア血症 / グルタメイト脱水素酵素 / 低血糖 / アデノウィルス / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
高インスリン高アンモニア血症(HIHA)はGlutamate dehydrogenase(GDH)の異常のためにGDH酵素のGTPの抑制制御が失われる結果、GDH活性が上昇し、肝臓では高アンモニア血症を膵β細胞では高インスリン血症をもたらす。HIHAの遺伝子変異は1)Pivot helixの蝶番GTP結合部位、2)アンテナ様構造のα-helix、3)エクソン6と7領域のGTP結合部位の3カ所で同定されている。各領域の遺伝子変異をアデノウィルスベクターに組み込みMin6膵β細胞に導入した。Pivot helix領域の遺伝子変異では正常とほぼ同等の、アンテナ領域の変異では正常の約2倍の基礎GDH活性を示し、GTPの抑制効果は変異遺伝子導入群では低下していた。COS細胞と同様の結果であった。変異GDHを感染させたMin6膵β細胞のインスリン分泌は正常GDH感染細胞に比較して、低グルコース濃度領域では増加し、高グルコース濃度では同等であった。これらのインスリン分泌はdiazoxideで抑制され、glybenclamidで促進された。すなわち、HIHAではインスリン分泌の制御機構は崩壊し、低血糖時にも大量のインスリン分泌がなされる。リポフェクション法を用いてMin6細胞にpCDNA3GDHとGFPベクターをco-transfectionさせ、蛍光single cellに対し電気生理学的にチャネル活性を検索した。遺伝子変異導入細胞ではコントロール群に比較してATPが関与する明らかな脱分極と頻回のCa発射を認めた。GDH異常によるインスリンの過剰分泌はK_<ATP>チャンネルによる機構、Caチャンネルの直接活性化、そして、非選択性陽イオンチャネルの過剰な脱分極が関与していた。以上の結果は高インスリン血症の発症機構がこれまでに推論されていたような単純なメカニズムによるインスリン過剰分泌でないことを示している。
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