2004 Fiscal Year Annual Research Report
西アジア先史時代におけるパイロテクノロジーの起源とその展開
Project/Area Number |
15401028
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
三宅 裕 東京家政学院大学, 人文学部, 助教授 (60261749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 一美 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (20303919)
常木 晃 筑波大学, 歴史人類学系, 助教授 (70192648)
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Keywords | 国際研究者交流 / トルコ / 考古学 / 新石器時代 / 土器 |
Research Abstract |
昨年度に実施した予備的な調査の成果を受けて、本年度は新石器時代の遺跡であるサラット・ジャーミー・ヤヌ(トルコ共和国)において発掘調査を実施した。本遺跡を選定した理由は、昨年の予備調査の結果、土器新石器時代初頭に位置づけられる層位が少なくとも2つ存在する可能性が想定されていたためで、西アジアにおける土器出現の様相を解明するために最適の遺跡であると判断したからである。本年度は、発掘調査としては初年度に当たるため、遺跡の斜面に細長い試掘坑を入れ、遺跡の時期と層位を確かめることを主眼において調査を実施した。 その結果、 1.合計8つの層位が確認され、ふたつの時期に大きく区分できること 2.下層からは西アジア最古級の土器が出土し、上層もこれに継続し、従来知られていた土器新石器時代のものよりも古い時期に位置づけられること 3.自然堆積層まで到達することができ、土器新石器時代から居住が開始された遺跡であること 4.出土した動物骨の分析により、この時期には西アジアの家畜の主力となる4種、ヒツジ・ヤギ・ウシ・ブタがすでに出揃っており、これらの家畜が生業面で重要な役割を担っていたこと などが明らかになった。 帰国後は、遺物実測図や写真の整理を進め、周辺地域の資料との比較検討をおこなった。また、海外共同研究者であるイスタンブール大学教授のオズドアン氏を招へいし、調査成果の検討と情報交換もおこなった。研究対象地域における出現期の土器の様相が徐々に明らかになり、胎土や器形・焼成などの技術的な側面の分析を通じて、煮沸具としての機能が土器出現の契機となっているという見通しを得ることができた。現在、年代を確定するために放射性炭素年代の測定や、土器の用途を特定するために残留脂肪酸分析などの理化学的な分析も併せて進めており、多方面からこの問題に迫っていきたいと考えている。
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Research Products
(4 results)