2004 Fiscal Year Annual Research Report
中国東南部における宗教の市場経済化に関する調査研究
Project/Area Number |
15401036
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
佐々木 伸一 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (30175377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 欣雄 東京都立大学, 人文学部, 教授 (90103209)
池上 良正 駒沢大学, 文学部, 教授 (60122925)
黄 強 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90329673)
志賀 市子 茨城キリスト教大学, 文学部, 助教授 (20295629)
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / 宗教 / 市場経済 / 文化人類学 / 民間信仰 / 祖先祭祀 / 死者供養 |
Research Abstract |
本年度は宗教の市場経済化に関して、中国東南部の各地で調査を継続するとともに、研究会を開催し調査結果についての報告と、本研究の理論的側面について意見を交換した。 1、研究会においては、市場経済と宗教という社会事象を、交換・消費・財・マーケットといった概念を用いることで、関連させた分析が可能という見解に至った。 2、現地調査からの成果 (1)、広東省梅州・梅県、江西省〓州の客家居住地区で、祠堂の理事会活動なとの収支を追って、子孫への投資状態を調査した。結果、文革期からすでに華僑による絶えざる資金供給があって、文革後の故郷のすばやい経済復興がなされてきたことが判明した。 (2)、浙江省寧波市・上海市・厦門市・香港などで、寺院や廟の復興と、仏教寺院の旧盆行事・死者供養の実態を、また上海市のカトリック教会と、聖職者養成について調査した。 沿岸部のいわゆる経済先進地域の「経済成長」とよばれている動向が、同時に「民俗復興」「宗教成長」を伴う多面的な現象であることをあらためて確認し、仏教寺院の復興には、根強い「死者供養」への需要が大きな位置を占め、仏教寺院が経済力を高めた市民をとりこみつつ、「死者供養」を大きな経済基盤としている実態がみえてきた。 (3)、広東省順徳市で社区の祭祀と祠堂の活動を、同省海豊県にて中元節の「聖人公媽」祭祀に関する調査を行ない、広東省の農村における祭祀共同体の活動状況について、民国時代から現在に至るまでのおおまかな変遷をとらえることができた。 (4)、重慶市三峡地区では、端公という男性術者の活動が民間信仰の中心であることが判明した。山東省の調査では、経済発展にともなう社会的格差の増大により、民間職能者が輩出される沿海各地のそれと同様の現状を確認することができた。
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Research Products
(3 results)