2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国東南部における宗教の市場経済化に関する調査研究-コンテクスト分析による-
Project/Area Number |
15401036
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
佐々木 伸一 京都外国語大学, 外国語学部・教授, 教授 (30175377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 欣雄 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (90103209)
池上 良正 駒澤大学, 文学部, 教授 (60122925)
黄 強 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90329673)
志賀 市子 茨城キリスト教大学, 文学部, 助教授 (20295629)
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / 宗教 / 市場経済 / 文化人類学 / 民俗宗教 / シャーマン / 死者供養 |
Research Abstract |
本年度も中国東南部の各地で調査を継続するとともに、宗教の市場経済化についての総合的な意見交換を行った。1、広東省広州市・油頭市・潮州市などの調査において、我々から見れば明らかに宗教的施設・行為であるにもかかわらず、それを宗教とは名乗らないで様々な活動を行うという曖昧な回路が存在しており、「正当な宗教」の「周辺」での、経済行為と宗教的行為が結合する一類型を見出すことができた。2、浙江省杭州市・上海市などで、寺院や廟の復興と、仏教寺院の中元祭祀・死者供養の実態についての調査を継続し、仏教寺院の復興とその経済的発展には、根強い「死者供養」に対する需要が大きな位置を占めるが、これは宗族などの祭祀から移行した、家族・個人レベルの慰霊という新たな需要であることが明確になった。なお、この傾向はまずます強まっており、上海・浙江・江蘇・広東といった広い地域に押しなべて見られる現象であることが判明した。仏教寺院や善堂などが、市民のニーズに対応するため、死者供養のメニューとその料金表も作成し、売込みのセールスを図るようにまでなっている。3、浙二江省金華市では、儀礼を見ることのできたシャーマンすべてが、憑依型、いわゆる迷信の最たる形とされる「跳大神」であり、広州や油頭の状況ならびにこれまでの知見と合わせて、東南部では、シャーマンの活動はすでに既成事実というレベルにまで達していることが確認された。4、比較のため、補足調査として吉林省長春市周辺で、民俗宗教の実態についての調査を行い、満族などの混住地帯であることから、シャーマンを初めとする民俗宗教の資源化は東南部ではありえないレベルにまで達しており、この調査を通じて、我々が思い描いた東南部における宗教の市場経済化の構図がより鮮明になったといえよう。
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Research Products
(4 results)