2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15401038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
新谷 尚紀 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 教授 (80259986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関沢 まゆみ 国立歴史民俗博物館, 民俗研究部, 助手 (00311134)
三橋 健 国学院大学, 神道学部, 助教授 (30104748)
比嘉 政夫 沖縄大学, 法経学部, 教授 (10045198)
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Keywords | フランス / プロヴァンス地方 / 聖人信仰 / 民俗信仰 / 五月の木 / カニヴァル / Saint-Elloi |
Research Abstract |
平成15年度は、これまで継続してきたブルターニュ地方の祭礼行事や民俗信仰と比較する視点を獲得したいと考えて、フランス南部、プロヴァンス地方における聖人信仰と祭礼行事を中心とした調査を実施した。まず、復活祭の40日前の日曜日(四旬節)から、復活祭後40日目の木曜日の昇天祭、50日目の日曜日の聖霊降誕祭、などの大きな祝日に行われる冬との訣別と春迎えを示す行事に注目した。復活祭前の二月に行われるカニヴァルと五月の春迎えを示す「五月の女王」または「五月の木」と呼ばれる祭礼行事に関する現地の情報収集と予備的調査を行った。その結果、現在プロヴァンス地方における「五月の木」の習俗は衰退しており、村の祭りとして行われているのは、ルベロン山地に位置するCucuronという村落のみであることが判明した。このCucuronの伝承で注目されるのは、その基盤に五月の木という民間習俗が存在していたが、後に聖人信仰が付着したという点である。カニヴァルについては、ニースのカニヴァルが有名であるが、先のCucuronの2月の灰の水曜日に行われるサバ(Saba)やCheval-Blancのやはり2月の灰の水曜日(現在は学校の休日にあわせた金・土)に行われるベルとエルミットの祭り(Fete des Belles et Ermites)など、プロヴァンス地方の村落においてはより素朴な形態のカニヴァルが伝承されていることが明らかになった。また、これらのカニヴァルにおいては聖人信仰的要素が希薄で、娯楽的要素が強い点もその特徴である。 次に、夏至の頃に行われる夏の祭りとして、金銀細工師や鍛冶屋の守護神として知られるサンテロワ(Saint-Elloi)の馬祭りの分布を調査し、そのうち、1930年以前まで夏至に祭りが行われていたことが明確に伝承されている,Maillaneのサンテロワの祭りについて集中的に聞き取り調査を実施した。
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Research Products
(2 results)