2004 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代における海外コリアンのホスト社会への適応と葛藤
Project/Area Number |
15401039
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
朝倉 敏夫 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (40151021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 浩樹 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (90299058)
島村 恭則 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (10311135)
林 史樹 神田外語大学, 外国語学部, 専任講師 (00364919)
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Keywords | 海外コリアン / 移民 / ホスト社会 / グローバル化時代 / オーストラリア / コリアタウン |
Research Abstract |
本研究の第一の目的は、多様な海外コリアンのあり方を視野におさめ、世界諸地域に居住する海外コリアンを比較研究するための基礎的資料の収集にある。そのため研究メンバーは世界各地の海外コリアンについて、アメリカ、中国、日本などの諸地域において、それぞれ分担して調査研究を継続し、また当該地域の文献資料(行政資料、統計、新聞など)の収集を行った。具体的には、中国朝鮮族担当の岡田は中国・黒龍江省、在日コリアン担当の島村は福岡市と北九州市、林は華僑の移動ルートに沿って流動化、拡散する新しいコリアン移民について、神戸市およびフィジーにおける現地調査を行った。フィジーには、木材輸入業、水産業、および投資のための韓国からの移民が、約1,000人居住している。林は、首都のスパと国際空港のあるナンディにおいて調査し、韓人録などの資料を収集し、コリアン移民についての新しい知見と資料をもたらすような大きな成果をあげた。また、文献資料の収集のため、林と島村は韓国に、岡田は東京に出張し、大学図書館、国会図書館(日本、韓国)における資料調査をおこなった。 なお、前年度研究分担者の韓景旭は在外研究のため、本年度は不参加である。また中央アジアの高麗人研究をしている李愛俐娥(同志社大学研究員)とハワイのコリアン研究をしている洪賢秀(科学技術文明研究所研究員)に、研究協力者として、本研究の遂行上必要な専門知識を提供し、あわせて調査研究に加わっていただいた。 研究分担者による個別の調査研究に加え、本年度は、近年になってコリアンの移民が急増しているオセアニア・太平洋地域に着目し、オーストラリアを共同調査した。オーストラリアには、研究代表者の朝倉と研究分担者の岡田とともに、李愛俐娥と洪賢秀が同行し、それぞれの分担地域と比較する視点で調査した。オーストラリアのシドニーには、30年前からコリアンが移住し始めたが、近年その数が急増し、郊外にはコリアンタウンが形成されている。このコリアンタウンを踏査するとともに韓人会、教会、韓国系新聞社などで聞き取り調査を行った。 また、年度末に、共同研究会を研究代表者が所属する国立民族学博物館にて開催した。この研究会では、今年度の成果の検討、来年度の研究計画の打ち合わせに加えて、昨年度、今年度収集した基礎資料を整理、分析するための、予備作業として収集文献のリスト化、それぞれの資料や文献に関する解説、解題などのデータベースのひな形作成をおこなった。
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