2005 Fiscal Year Annual Research Report
世界木材貿易を通した循環型森林資源管理の温暖化防止効果への影響分析
Project/Area Number |
15402003
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
行武 潔 宮崎大学, 農学部, 教授 (30174832)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小八重 祥一郎 宮崎大学, 農学部, 教授 (10038276)
加藤 隆 森林総合研究所, 四国支所長 (40353643)
庄司 功 筑波大学, 社会工学系, 教授 (20282329)
吉本 敦 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教授 (10264350)
藤掛 一郎 宮崎大学, 農学部, 助教授 (90243071)
|
Keywords | 持続的森林経営 / 再造林放棄 / 木材需給 / スギ材利用 / 集成材 |
Research Abstract |
本年度は、以下のような調査研究を行った。 1)近年再造林放棄が、森林の持続的経営を脅かすものとして、問題になってきている。林野庁の調査では、スギ生産量が最も多い宮崎県は、北海道を除いて造林未済地面積が最も多い。この宮崎県を対象に1989から2003年までの市町村別のパネルデータを基に、再造林放棄について、再造林面積と伐採面積の時間的な関係、地域差等を回帰することによって、検証した。主な結果は以下の通りです。 ・宮崎県の再造林率は伐採面積の60%余で、別途宮崎県が現地調査を行った結果とほぼ一致した。 ・伐採面積との時間的なズレを見ると、当期の伐採面積に対するの再造林率が45%位、前期のそれが20%弱、それ以前の伐採面積はほとんど影響しないようである。また、特に近年の傾向(1998年以降)として再造林率が減っているわけではなく、むしろ最近は幾分増加気味である。 ・宮崎県南、中央、北部等地域別に差異が見られ、宮崎市のある中央部が最も再造林率が低い。 2)JAFSEMの基礎となる地域需給モデルの再検討を行い、東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州の8地域に、韓国、中国の両国を加え極東地域の需給モデルの構築を図った。しかしながら、韓国は供給が、中国は需要の関数がよい結果を得ることが出来なかった。因みに韓国の需要価格弾性値は-0.480と朱麟源等の-0.479とほぼ同じ結果を得た。これは日本の各地域の弾性値-1.7〜-5.0と比較するとかなり非弾力的である。 3)この他、循環型森林管理に影響を及ぼす、バイオマス利用による加工部門の自家発電に関する調査、及び最近の新たなスギ材利用の調査を行った。特に後者は、森林資源利用に及ぼす影響は少なくない。集成材、合板向けとして新たにスギB材(曲がり材)利用が、台頭している。集成材向けは従来のA材のように直材である必要はなく、B材の需要が増大した。長さや直材よりも強度が問われるから、需要が増えると仕分けの仕方が変わる可能性がある。原木の工場着値が8,000円/m^3ということから、持続的な森林経営を行う側からは、厳しい価格条件である。しかしながら、集成材原料としての需要は大きく、かなりの量が向けられており、今後国産材市場に少なからぬ影響を及ぼすと思われる。
|
Research Products
(6 results)