2003 Fiscal Year Annual Research Report
文化的少数派の権利擁護論に関する国際的比較研究:哲学的アプローチと歴史学的アプローチの統合
Project/Area Number |
15402015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
飯田 文雄 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70184356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 謙次郎 神戸大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (50346277)
網谷 龍介 神戸大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (40251433)
月村 太郎 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70163780)
早川 誠 立正大学, 法学部, 助教授 (80329010)
辻 康夫 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (20197685)
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Keywords | 多文化主義 / ロールズ / テイラー / リベラリズム / アイデンティティー / ポスト冷戦 |
Research Abstract |
(1)研究初年度に当たる本年度は、まず日本国内における基礎固め的作業として、ロールズ・テイラーら、少数派文化擁護論のいわば第一世代の議論を、研究参加者全員で批判的に再検討し、従来、政治哲学及び政治史学双方内部で、自己完結的に考察されてきた、少数派文化の権利擁護論に関し、両者の知識を対等に活用し合う、複眼的な分析枠組みを参加者全員が共有することを目指した。その結果、本研究では、1)これら第一世代の論者の議論は、現代民主制における文化的アイデンティティーの意義を解明した点で、90年後半以降の、いわば論争の第二世代の議論に対して、不可欠の基礎付けを与えていること。2)しかし他方、第一世代の議論は、少数派文化相互の具体的差異や相互対立等、第二世代において顕在化する論点に関しては、必ずしも十分な考察を行っていなかった点で、第二世代の議論とは大きな非連続性を示していること、等の新たな知見が得られた。 (2)第二に、本研究では、外国における作業として、各研究参加者が、少数派文化擁護論が活発に展開されており、自己の本来の専門研究対象とする諸地域に相当期間滞在し、各文化圏における少数派文化の具体的実態や少数派文化擁護論の特質等について、包括的・網羅的な資料収集を行なった。その結果、本研究では、1)北米圏の少数派文化擁護論は、多くの場合、現代リベラリズムの哲学的諸議論、とりわけその政治的寛容論の実践的応用として提起されているのに対して、2)東欧圏の少数派文化擁護論は、むしろ、より具体的な民族相互間の紛争を契機として、その妥協形成・調停過程において提起される、よりパワーポリティックス的な関心を強く内包する場合が多いという、新たな知見が得られた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Fumio Iida: "Kozo Kaikaku : The Emergence of Neoliberal Globalization Discourse in Japan"Manfred B.Steger(ed.)"Rethinking Globalism"(Rowman & Littlefield Publishers, Inc.). 225-245 (2003)
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[Publications] Tsukimura Taro: "Ethnic Security in the Former Yugoslavia : Domestic and International Dimensions"Vojmir Franicevic & Hiroshi Kiinura (eds.)"Globalization, Democratization and Development" (Zagreb : MASMEDIA). 255-267 (2003)
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[Publications] 網谷龍介: "EUにおける『市民社会』とガヴァナンス・『ヨーロッパ公共空間の共有』は可能か?"神戸法学雑誌. 第53巻第1号. 33-67 (2003)
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[Publications] 早川誠: "多元性"アクセス政治哲学(押村高・添谷育志編)(日本経済評論社). 181-199 (2003)
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[Publications] 渋谷謙次郎: "言語問題の法化と国語保護法制"社会体制と法(研究会編)社会体制と法. 79-86 (2003)
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[Publications] 渋谷謙次郎: "多言語社会における倫理的諸問題-いわゆる「言語権」をめぐって-"神戸法学年報. 第19号. 15-106 (2003)