2005 Fiscal Year Annual Research Report
アジアにおける農業の近代化の地域社会的影響と維持可能な発展方向の模索的事例研究
Project/Area Number |
15402024
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
長 安六 佐賀大学, 経済学部, 教授 (10039232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔦川 正義 佐賀大学, 経済学部, 非常勤講師 (00038613)
PIYADASA Ranayake 佐賀大学, 経済学部, 教授 (90221697)
岩永 忠康 佐賀大学, 経済学部, 教授 (90304873)
白武 義治 佐賀大学, 農学部, 教授 (10192121)
五十嵐 勉 佐賀大学, 農学部, 助教授 (30202857)
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Keywords | 持続的農業 / 大型水利ダム / 灌漑農業 / マハベリ計画 / 農業の近代化 / コミュニティマーケット / 有機農業 |
Research Abstract |
本研究では、大型水利ダムと灌漑施設の建設を挺子とする水田稲作特化型の近代農業の意義と限界を明らかにするとともに、日本、スリランカ、及びタイ王国における事例を調査・研究することによって、持続可能な地域農業の発展方向を明らかにすることを目的としている。 初年度に行った、嘉瀬川(日本)、ナムポン川(タイ)、マハベリ川(スリランカ)の三つの河川における大型ダムの建設による水利灌漑システムの構築についての調査と、二年目に行った、上記の河川流域における近代的な水田稲作農業の課題とそれに代わるオールタナティヴな農業のあり方を総合的に把握する調査を踏まえて、最終年度の本年度は、以下の手順で作業を進めた。 (1)マハベリ川総合開発計画下の灌漑農業の現状と課題を明らかにするために、システムC地区パハラヤックレ村の農家調査とサマナラウェワダム下流のカルトタ村の補足調査を実施した(8月、12月)。 (2)ナムポン川流域と周辺域の水と農業の関係を把握するために、ナムポン郡タークラスム村(水稲二期作農業)と、ナーファイ村(サトウキビとトウガラシの複合農業)の農家調査と、ムアン郡パークプァイ村の水稲と野菜の複合農業、ウェンヤイ郡ドーンバン村の小規模複合農業、の補足調査を実施した(9月)。 (3)嘉瀬川流域において、大型機械施設を装備した近代的営農集団(西与賀町)の農家調査と多様な流通チャンネル(佐賀青果市場、道の駅「そよかぜ館」、有機野菜の店「元気畑」、直売)の補足調査を行った(12月)。 水田稲作農業における近代化の象徴としての機械化と化学肥料と農薬の多用は、西与賀集落(日本)、ターカスン村(タイ)、ヤックレ村(スリランカ)の何れの調査地区においても共通にみられた傾向であり、地力の低下と病害虫の多発、化学肥料と農薬の多用という悪循環をもたらすとともに、コストの上昇をもたらし、価格が低迷するなかで所得の低下をもたらしている。このようななかで、経営規模の拡大による展開を図る上層農家と複合経営への傾斜を深める中間農家、兼業化・脱農を図る下層農家という階層分化が進んでいるが、中・下層農家を中心に何れの地区においても有機農業を中心とする持続的農業への関心が高まってきている。
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Research Products
(6 results)