2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15402030
|
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KNELLER Robert 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (20302797)
|
Keywords | 遺伝資源 / ABS(アクセスと利益配分) / 知的財産 / コスタリカ / Merck / 生物多様性条約 / 研究開発 / 伝統的知識 |
Research Abstract |
現在の遺伝資源をめぐるABS(利益配分システム)の原点ともいえる中南米コスタリカと米国の製薬会社Merckが締結した遺伝資源提供・利益配分契約の背景及びその履行状況を調べるために、コスタリカのNGOである生物多様性研究所(INBio)を訪問した。生物多様性条約(CBD)締結以前に、遺伝資源の提供と利益配分に契約を締結し、注目を集めたコスタリカであるが、その後は相互の契約ベースで利益配分を行う流れのみに徹底し続けているわけではなく、国家としては、他の途上国、他のメキシコ、インド、コロンビア等と足並みを揃えて、メガ多様性国家グループを形成し、遺伝資源は国家官庁の下で協力な権限の下、一元管理したいと考える途上国の趨勢に飲まれていっているように思えた。依然として、CBD締約国会議で紛糾している先進国と途上国のABSを巡るスタンスの相違に接すると、CBDの趣旨をくみつつも、途上国は、ケース毎にもう少し柔軟に対応できるABSシステムの可能性も考えなければならないのではないかと考える。つまり、医薬の製造能力、研究開発力を持つ国と持たない国等、各国の状況に応じた遺伝資源マネジメントを戦略的に構築するべき時期にあるように考えた。両陣営とも、もう少し妥協点を見出した遺伝資源マネジメントのあり方を検討しなければならないが、その点については、CBDを批准していない、先進国の代表、米国がどう政策的にもメガ多様性国家グループを納得させられるのかに拠るところが大きい。CBDの事務局長アドバイザーでもあるハーバード大学行政学大学院Belfer CenterのJuma教授にもインタビューを行い、同問題を議論するフォーラムを、より中立的である日本で次年度に作ろうという合意に至った。なお、ABSをめぐる枠組み作りに模索しているネパールの王立科学アカデミーにおいて、コスタリカの調査報告を行い、その趣旨の一部は地元各新聞、メディアに掲載された。
|
Research Products
(2 results)