2004 Fiscal Year Annual Research Report
対応バイアスの日米比較-異文化についての誤解を生む心理プロセスの研究
Project/Area Number |
15402043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 陽太郎 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20197122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 隆 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (80203959)
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Keywords | 対応バイアス / 文化比較 / 原因帰属 / 日本 / アメリカ |
Research Abstract |
本研究の目的は、「対応バイアス」の強さが日本と米国では異なるのかどうかを調べることでした。「対応バイアス」は、他者の行動の理由を推定するとき、同じ状況では誰もがとる行動であったとしても、そうした状況を考慮に入れずに、その人物に特有な内的特性(例:性格・能力など)を反映した行動だと考えてしまう思考のバイアスです。米国における数多くの研究によって、この対応バイアスは、非常に強固で、状況を意識させるための様々な工夫をしても、容易には消失しないことが知られています。ところが、最近、「対応バイアスは、欧米文化に特有な思考バイアスであって、日本をはじめとするアジアなどの文化では、対応バイアスは生じないか、生じても極めて微弱である」という主張がなされています。本研究では、この主張の妥当性を検討するために、結果に影響する可能性のある2つの変数、すなわち、状況と中間回答傾向に配慮しながら、日米比較研究をおこないました。 総計で648名の日本人大学生と1157名のアメリカ人大学生を対象に質問紙実験をおこないました。アメリカ人大学生からは、アジア系を除外した506名について分析をおこないました。 中間回答傾向については、先行研究とは異なり、日米間には一貫した差異が認められませんでした。内容的な文化差が影響しない知覚判断を求めたことの結果であると思われます。 一方、対応バイアスについては、状況によって、アメリカ人大学生の方が強度が大きい場合と、日本人大学生の方が強度が大きい場合が生じ、状況の影響が強いことが明らかになりました。 しかし、データ数がまだ充分ではなく、さらにデータ収集を続ける必要があります。
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