2004 Fiscal Year Annual Research Report
南西太平洋ラウ海盆周辺海域の深海熱水生物群集の起源に関する研究
Project/Area Number |
15403014
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山口 寿之 千葉大学, 海洋バイオシステム研究センター, 教授 (10101106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 惇 長崎大学, 水産学部, 教授 (90346908)
小島 茂明 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (20242175)
石橋 純一郎 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (20212920)
宮崎 淳一 筑波大学, 生物科学系, 講師 (80229830)
土田 真二 海洋科学技術センター, 海洋生態環境研究部, 研究員 (30344295)
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Keywords | 深海熱水噴出孔 / 固有種 / 分類 / 系統進化 / 地理的分散 / 起源 / 原始性 / 南西太平洋 |
Research Abstract |
2004年9月23日〜11月10日南太平洋ラウ海盆およびハブル海盆で「しんかい6500」による潜航調査を行った。 ラウ海盆では、Vai Liliは最高87.9℃、pH4.8、H_2S 26.6μMの熱水が認められたが、15年前調査のDesbruyeresら(1994)が記載した活発な活動は無かった。活動の低下に伴い最高温度を記録した噴出孔には、僅かな数の巻貝類、コシオリエビなどが生存し、代わって膨大な量の二枚貝、巻貝、フジツボ類の死殻があった。Hine Hinaは最高2.8℃、pH7.3、H_2S 18.5μMであったが、エビ、コシオリエビ、イバラガニ、多毛類^*、フジツボ類^*、二枚貝、笠貝、巻貝などが生息していた(^*:ラウ海盆初記録)。他に新しい熱水活動域Marinerが発見され、最高360℃、pH2.39、H_2S 14100μMで、噴出孔に群がったエビ類、多毛類が多く、コシオリエビ、小型巻貝、笠貝、二枚貝シンカイヒバリガイは少なかった。三地点の種類数は、MarinerおよびHine Hinaは15種、Vai Liliは9種であった。全生物は5(6)門、7(12)綱、23(29)科、27(13)属、29(44)種だった(括弧内はDesbruyeresらが報告した数)。 ハブル海盆は有人潜水船として初潜航調査で、Brothers火山カルデラ北西壁および中央火口丘へ潜航した。前者は、最高302℃、pH2.9で活発な熱水活動が見られ、後者は69℃、pH5の浸みだしだった。生物はハオリムシ(前者のみ)、ウロコムシ、多毛類、シンカイヒバリガイ、笠貝類、巻貝類、コシオリエビ、エビ類、カニ類、フジツボ類、魚ゲンゲなどが採集された。エビ類2種、フジツボ類1種はBrothersカルデラの全域に非常に多くいた。 以上の分類学的な検討の上、リストを作成し、DNAによる遺伝的・系統的解析を試みる。特定の分類群は東太平洋、北西太平洋および南西太平洋、インド洋集団間で比較し、系統や分散、生物地理学的な検討を行う。
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Research Products
(6 results)