2006 Fiscal Year Annual Research Report
ジャワ鮮新更新世の古環境変遷と原人の出現・進化に関する研究
Project/Area Number |
15403015
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
兵頭 政幸 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 教授 (60183919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 裕司 兵庫県立大学, 自然・環境研究所, 教授 (80254457)
松浦 秀治 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (90141986)
近藤 恵 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助手 (40302997)
熊井 久雄 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 客員教授 (40020680)
山下 勝行 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 助教授 (50322201)
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Keywords | 古環境 / 鮮新世・更新世 / ジャワ / 原人 / 古地磁気 / 松山-ブリュンヌ地磁気逆転 |
Research Abstract |
(1)野外調査を平成18年11月10日〜19日に行った。古環境データ欠損部や詳細な分析が必要な部分の試料採取と地質層序の確認を主な目的に、東部ジャワのトリニールと中部ジャワのサンギランを調査した。トリニールでは、平成17年度採取したT12サイトの火山灰試料の年代が若いことから河岸段丘堆積物の可能性が示唆されていた。再調査の結果、河岸段丘であると結論した。同じT12サイトでピテカントロプス1号化石層準直下の可能性があるシルト質堆積物を発見し、古地磁気測定用に定方位試料を採取した。サンギランでは、南部ポジャジャールにて年代測定した火山灰層序の確認をし、東部バパンにて古環境・古地磁気試料の採取を行った。 (2)室内実験では、環境磁気分析と電子顕微鏡観察を行って湖沼環境を復元した。そして、湖沼の還元度が大きく変化する層準が最古の原人化石算出層準に一致することを明らかにした。また、トリニールの古地磁気分析を行い、ピテカントロプス1号は地磁気が正極性を示す時代の地層から発見されたことを明らかにした。古生物年代学的制約により、この古地磁気分析結果はピテカントロプス1号がハラミヨ・サブクロン(1.07-0.99Ma)か、ブリュンヌ・クロン(0.78Ma以降)の年代をもつことを示唆する。 (3)ジャワの古地磁気と比較するために行っている中国レスの高精度磁気層研究では、初期・中期マツヤマ・クロンに7つの地磁気イベントを見つけ、そのうち5つはグローバルなイベントであることを明らかにした。この結果は、Earth Planets and Spaceに公表した。 (4)マツヤマ-ブリュンヌ地磁気逆転境界に関する地球物理学的な解釈について平成18年5月に開かれた地球惑星科学合同大会にて、また人類学的な解釈について同年11月に開かれた日本人類学界にて発表した。 (5)古地磁気学・古環境学に関する論文3編、著書1(共著)を出版した。
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