2005 Fiscal Year Annual Research Report
全地球炭素循環における石墨の役割と超大陸地殻の酸素欠乏現象の解明
Project/Area Number |
15403016
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
和田 秀樹 静岡大学, 理学部, 教授 (20126791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
サティッシュクマール エム 静岡大学, 理学部, 助教授 (50313929)
石川 剛志 静岡大学, 理学部, 助教授 (30270979)
エム サントッシュ 高知大学, 理学部, 教授 (20333453)
板谷 徹丸 岡山理科大学, 理学部, 教授 (60148682)
鹿園 直建 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10011751)
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Keywords | ゴンドワナ超大陸 / 石墨鉱床 / 炭素同位体組成 / 地殻酸素欠乏症 / マイクロダイヤモンド / 地殻-マントル炭素循環 / ウクライナ / ギリシャ |
Research Abstract |
昨年度本研究課題とゴンドワナ研究連合と共同で開催した、ゴンドワナ超大陸の分裂に関する国際シンポジウムの特別セッションで企画した、大陸下の流体移動についての論文作成の作業を行った。その一つが、スペインのマントル橄欖岩に伴う石墨結晶やダイアモンドの仮像を造る石墨結晶のまとめである。静岡大学における超高精度の分析結果から石墨の結晶成長とマントル炭素の特徴を明らかにし、公表することができた。また、スリランカとの共同研究者であるウィルバート氏を招聘し、本研究のまとめの議論を行い、公表論文の完成を現在進めていて、取り急ぎ、一部を完成した。 本年度の海外調査は、ウクライナ共和国とギリシャで行った。ゴンドワナ超大陸のつながりを持つウクライナ盾状地は、プレカンブリア紀の平坦な大陸であるが、従来本研究で焦点を当ててきた、ゴンドワナ超大陸の石墨鉱床と比較すべきザバリエ石墨鉱床が知られており、本研究の海外共同研究者のDr.Guliy氏と、ウクライナ地質調査所、キエフ大学、およびリヴィブ大学の研究者の案内により、地質調査と試料採取を行った。この石墨鉱床は、片麻岩の中に胚胎しており、もっとも富鉱帯では数センチに及ぶ石墨単結晶が成長しており、熱水の活動が予想される。従来本研究でインド・スリランカ・マダガスカル・南アフリカ等で見られる、超変成作用のミグマタイトや、炭酸ガス流入によるチャルノッカイト形成と関わる石墨形成とはかなり異なる形成機構が推定される。ウクライナではここ数年来、片麻岩地域の変成岩の中にマイクロダイヤモンドの産出が知られるようになり、ゴンドワナ大陸下において、あまねくダイヤモンドの安定領域を経てきた変成岩が広く分布しているらしいことが明らかにされてきた。近年明らかになってきた画期的な事実として、衝突帯の超高圧変成帯には、マイクロダイヤモンドが知られている。以上の調査結果は、超大陸下における炭素物質が、ダイヤモンドの形として広く存在し、酸素分圧を低く規制してきたことがはっきりしてきた。これらの変成岩としての年代は、まだ明確な年代は得られてはいないが、原生代のプレート運動により地殻物質がマントルに及び深部まで達するような変成作用を被り、地上に再び現れるという新たな物質循環が見えてきていると考えられる。 本年度のもう一つの追加重点調査地として、ギリシャのキクラデス諸島の高圧型変成岩の炭素同位体システマティックを明らかにするための調査を行った。この調査は、ナクソス島のドロマイトとカルサイトを含む大理石の石墨を含む同位体交換平衡の微細構造を明らかにするものである。従来、この地域では、多くの物質移動の研究がされているが、変成度と炭素同位体の分別過程における分配が平衡とならない例として扱われてきた。今回、現地の調査により、日本で見られるドロマイト^カルサイトの組み合わせと大きく異なる層状の分布が認められ同位体の分布と変成条件における物質移動の詳細が明らかにできることが分かった。
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Research Products
(5 results)