2006 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュの沖積平野におけるヒ素汚染地下水形成機構の解明
Project/Area Number |
15403017
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
三田村 宗樹 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 助教授 (00183632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益田 晴恵 (中屋 晴恵) 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70183944)
赤井 純二 新潟大学, 理学部, 教授 (30101059)
千葉 仁 岡山大学, 理学部, 教授 (30144736)
中屋 眞司 信州大学, 工学部, 助教授 (70313830)
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Keywords | バングラデシュ / ヒ素 / 地下水 / 沖積平野 / 帯水層構造 / 完新統 / 酸化-還元 / デルタ |
Research Abstract |
2003-2005年度バングラデシュ・ショナルガオ地域で地下水採取調査およびボーリングによる地層試料採取および表層土壌試料採取を行い,本年度は続けて水質分析,地層および表層土壌中のヒ素濃度分析を進め,現地補足調査として表層土壌の試料採取,地域地下水の利用状況の現地ヒアリング調査を実施した.さらに,調査地域における3次元帯水層モデルを構築し,雨季・乾季の季節変動と地下水利用状況を考慮した地下水浸透・流動シミュレーションを実施した. 昨年度までの調査で判明した地下における最終氷期以降に形成されたとみられる溺れ谷地形に沿って,地下水流動が顕著に生じることが明らかとなった.また,溺れ谷の谷底部は部分的に帯水層間に挟まれる粘土層が削剥されているため,上下の帯水層は直接接し地下水が鉛直的に交換し得る状況にある.このため酸化的な第二帯水層地下水が上位の第一帯水層の還元的地下水へ流入し,参加-還元状態の変動を地下で生じさせる要因となっている.また,表層部では雨季・乾季での河川水位の大きな変動によって地下水位も5m前後変動する.表層部においても酸化還元状態に大きな季節変動が生じており,砒素・鉄の形態変化が活発に起こっている.これに加えて,乾季に河川氾濫原は離水し畑地として広く活用されている.窒素同位体比から肥料あるいは地層中に腐植の分解などを由来とするアンモニア体窒素が地下水中に存在し,第一帯水層地下水を強い還元状態を維持することに寄与しているものとみられる. 本地域の沖積層砒素含有地下水形成には,地下における埋没谷地形という帯水層構造および雨季・乾季の河川水位変動に伴う大きな地下水位変動がもたらす表層の酸化-還元状態の変動とアンモニア体窒素過剰による地下水還元環境の維持などが大きな因子となっていることが判明した.
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