2005 Fiscal Year Annual Research Report
カトマンズバレーによって形成される大気安定成層と大気汚染の動態調査および解明
Project/Area Number |
15404002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 明 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20215445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀 昭和 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90029265)
井上 義雄 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60203262)
竹中 規訓 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (70236488)
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Keywords | カトマンズバレー / 大気安定層 / 窒素酸化物 / TSP / オキシダント |
Research Abstract |
カトマンズ峡谷の大気汚染物質は、一年間パッシブサンプラー法によって測定された。冬季に汚染物質が最も高くなることが確かめられた。また、冬季の大気汚染物質の日変動と温度の鉛直分布も測定され、冬季の大気汚染が、典型的な日変動を示すことが明らかになった。NO2とTSPの濃度レベルは、午前に最高になり、日中に最低になった。また、温度の鉛直分布により求めた温位勾配から、汚染レベルが最大になる時に大気が最も安定であり、汚染レベルが最低になる時、不安定であることが示された。また、風速は日中に最大となり、夜間はほとんど無風であることが明らかになった。カトマンズ峡谷の10ヶ所で、VOC濃度が測定され、Tridevi Marg Royal Place(交通量が最も多い)で濃度レベルは最大となった。VOCの成分分析結果より、カトマンズ峡谷のVOCの内40%がガソリンの寄与、20%が排気ガスの寄与であることが示された。カトマンズ峡谷の大気汚染濃度を、2層ボックス・モデルを用いてはシミュレーションした。輸送部門および産業部門のTSP、窒素酸化物、硫黄酸化物および炭化水素の排出量は、既存のデータを基に近年の自動車登録台数の増加率から評価し、炭化水素の成分毎の排出量は、2003年にカトマンズ峡谷の測定データから評価した。水槽模型実験から得られた混合層高さを、モデルパラメータとして用いた。モデルによって計算されたTSP濃度、NO2、NOとO3濃度は、観測結果をかなりよく再現した。このモデルを、TSP濃度の将来予測に用いた。将来シナリオとして、交通量の増加、排ガス規制をクリアした車比率の増加、車税による道路舗装率の増加を考えた。その結果、車税による道路舗装率を高めない限り、TSP濃度は将来にわたり増加し続けることが示された。このことは、道路舗装率を高めない限り、健康への悪影響が増加することを示唆しており、早急な自動車対策の実施が必要であることを意味している。
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Research Products
(4 results)